越前焼は工芸品ではなかった?陶芸村にある越前古窯博物館でその歴史に迫る!【越前町】

越前焼は工芸品ではなかった?陶芸村にある越前古窯博物館でその歴史に迫る!【越前町】

信楽焼や備前焼と並び、日本六古窯(こよう)と称される「越前焼」。
昭和61年には通商産業省から伝統工芸品の指定を受け、今でこそその価値は高く評価されていますが、それはごく最近のこと。

越前焼は、地元の人にとってはあまりにも日常にありふれていたものだったため、ほんの少し前までは、芸術品、工芸品とは全くみなされていませんでした。
それが、現在のように伝統工芸品として大事にされるようになったのは、ある男性の尽力があったからでした。

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像岡本太郎の「月の顔」など、15もの陶彫作品が点在する陶彫広場

越前焼の歴史や作品の展示、陶芸体験などを楽しむことができる施設として、福井県越前町の越前陶芸村があります。
その敷地内に2017年秋にオープンした「越前古窯博物館」では、越前焼がこれまで辿ってきた歴史を今まで以上に深く理解できます。

今回は、オープン後まもない越前古窯博物館を訪ねたので、その見どころや、越前焼の歴史、魅力を徹底解説します。

どんなところ?「越前陶芸村」

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

越前陶芸村はそれ自体が一つの集落のようになっており、敷地内には越前焼に関する博物館やギャラリー、陶芸体験施設、さらにはおそば屋さんや温泉、宿泊施設まであります。

大きな広場もあるので、散策しながら越前町の四季を感じるのも一つの楽しみ方です。

越前焼とは

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

現在の越前焼の定義は、「福井県丹生郡越前町の宮崎地区、織田地区で、地元の土を使って作った陶磁器」となっており、釉薬を使わないことによる独特の風合いが特徴的です。

冒頭でも簡単に説明しましたが、そもそも越前焼は、「越前焼」という商品や作品としては全く確立されていないものでした。

今でこそ、茶器や工芸品などの作品が作られている越前焼ですが、江戸時代ごろまでは壺やかめ、すり鉢など、日常生活に欠かせない道具とみなされていました。
また、その歴史は平安時代末期にも遡るにも関わらず、歴史的価値も全く見出されていなかったのです。

しかし、東洋陶磁研究の第一人者・故小山冨士夫さんが1942年に越前焼の古窯跡調査を行い、越前焼を瀬戸、常滑、信楽、丹波、備前の五古窯とともに「日本六古窯」の1つに位置付けました。
さらに、「平等焼」、「織田焼」、「ふくい焼」、「小曽原焼」など、バラバラであった呼び名を「越前焼」に統一し、やっと越前焼が工芸品として日の目を浴びたのです。

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像作家さんの個性が最大限発揮された越前焼の茶器の中には「かわいい!」と思えるようなものもたくさんありました。

越前焼と水野九右衛門氏

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像水野九右衛門氏が自身で焼いた壺。「九」の印が特徴。

小山氏の指導を受け、越前焼の研究を生涯のテーマとした地元の古窯址研究者がいました。
それが、故・水野九右衛門(くうえもん)氏です。

水野氏は窯址(ようし)の発掘、越前焼の収集など、40年以上に渡って越前焼の研究を続け、その成り立ちを明らかにしました。

また、単なる研究にとどまらず、自身のコレクションを公開するために「水野古陶磁館」の建設も行いました。
水野氏が収集した1600点を超える資料は、福井県陶磁器資料(水野九右衛門コレクション)として国の登録有形文化財にもなっています。

さらに、鎌倉時代の窯の復元をし、自身で作品を作って焼成実験までしていたとのこと。

そこまでの強い熱意のおかげで、越前焼は日本を代表する焼き物、工芸品として現在に伝えられているのです。

越前古窯博物館

越前古窯博物館は、そんな水野九右衛門氏の旧宅を移築・復元した建物を中心に、資料館、茶室などが備えられた施設です。

旧水野九右衛門家住宅

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

博物館の中央、門をくぐってすぐに目に入ってくるのが、旧水野九右衛門家住宅です。

切妻屋根が特徴的なこの住宅は、天保6(1835)年に建てられたと考えられており、築180年以上にも関わらず、2階部分の白壁と黒い柱のコントラストはモダンにも感じられました。
このような住宅は越前町内に多く見られ、江波地区にあるものは、美しい日本のむら景観百選「切妻屋根群」にも認定されています。

建物の中も、歴史と趣がひしひしと感じられ、特に丁寧な細工が施された欄間は、いつまで見ていても飽きないほどでした。

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

そして驚いたのが、奥の座敷のそのさらに奥にある、4畳の空間。

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

床も一段高くなっており、どうしてこのようになっているのか想像もできなったのですが、みなさんはこの場所、何のためのものかわかりますか?

実は奥の襖を開けると、仏壇が入るようになっているんです。
この4畳のスペースは、法事などの際に、お坊さんが座る場所とのこと。

仏教が盛んな福井県は、仏壇が大変大きく、このように収納するスペースが取られていることもあるのですが、一段高くなったスペースがわざわざ作られているのは珍しいそうです。

さらに、「囲炉裏の間」には、こんなに美しい傘天井が。

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

こちらは、昭和に入り改装した際に新しく作られたものであるため、180年前からあったわけではありませんが、美しくも迫力があり、多くの人がここで足を止めて天井を眺めていました。

資料館

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

旧水野九右衛門住宅の右隣には資料館もあります。

展示室には、日経新聞社の、全国で「10個の壺を選ぶなら?」という質問に対して選ばれた、貴重な鎌倉時代の越前焼の壺も展示してあります。

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

また、茶色っぽい色が多い越前焼ですが、明治時代以降はこのように色がついたものも作られるようになったそうです。
綺麗!

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

しかし、数々の名品の中でもひときわ目立っていたのが、こちら。

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像

どうやらたぬきらしいのですが、お店の看板に使われていたのでは?とのこと。
手の部分に穴が空いているので、ここに何かを持っていたようです。

資料館は、1階は、越前焼の歴史変遷がわかる水野コレクションの展示、2階は水野氏が発掘調査した古窯址や収集した破片の展示、生前大事にしていたカメラなどが展示されています。

企画展示室では年に数回企画展の実施も予定しているとのこと。
茶器やツボなど、焼き物に興味がある方は要チェックです!

茶室

越前陶芸村古窯博物館伝統工芸品越前焼の画像茶室・天心庵

旧水野九右衛門住宅の奥には天心庵が、隣には天心堂という茶室があります。
設計を手掛けたのは、京都の桂離宮などの伝統建築の保存に尽力した建築家、中村昌生氏。

特に天心堂には、越前塗り越前和紙越前指物など、福井の伝統工芸や技が随所に施されているので、こちらも必見です。

旧水野九右衛門家住宅の和室、茶の間、天心庵、天心堂は、一般の方も予約すれば利用可能なので、お茶会などに利用してみては?

越前焼の重要な歴史がわかる越前古窯博物館。
越前陶芸村に行く際は、ぜひ足を運んでみて下さい。

名称 越前古窯博物館
住所 福井県丹生郡越前町小曽原107-1-169
電話番号 0778-32-3262
開館時間 9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(祝日を除く)、休日の翌日(土・日・祝日を除く)、12月28日〜1月4日
料金 以下をご覧ください
http://info.pref.fukui.lg.jp/tisan/e-old-kiln/facility.html
WEBサイト http://info.pref.fukui.lg.jp/tisan/e-old-kiln/

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