ステーキナイフが4年待ち!?伝統工芸品・越前打刃物の(株)龍泉刃物に行ってきました!
福井県の伝統工芸品7品目の一つである、越前打刃物。
全国の刃物産地では初めて伝統工芸品に指定されたもので、700年以上の歴史があると言われています。
鋼を独特の技法でたたき、美しい刃物へと変化させていく様子はまさに職人技。
今回は、越前打刃物を作る会社の一つ、『株式会社 龍泉刃物』さんにお邪魔しました。
「グッドデザイン賞受賞」「世界中で支持されている人気ステーキナイフは4年待ち」など、とにかくすごそうなのですが、一体どんな会社なのでしょうか…。
株式会社 龍泉刃物とは
越前市にある龍泉刃物さん。
外観がとてもおしゃれで、一見して刃物を作る会社にはあまり見えませんでした!
ステンレス鋼が特徴
初代・増谷等氏が刃付け業を始めたことが龍泉刃物の始まりで、会社自体は創業70年を超えています。
龍泉刃物の製品は、ステンレスと特殊鋼を接着した構造が特徴的。
越前打刃物産地内でいち早くステンレス鋼の製品化を進めた会社でもあります。
龍泉輪模様
龍泉刃物のもう一つの特徴は、刃物の表面に浮き出た不思議な模様。
龍泉輪(りゅうせんりん)模様と呼んでいるこの模様の名前は、泉から龍が立ち上がり、雫が水面に落ちた時に広がる模様をイメージしてつけられたとのこと。
まさに龍泉刃物ならではの模様ですね。
硬質材と軟質材を交互に幾層にも積み重ねた刃物鋼を鍛造し、表面を平らに磨きあげる越前打刃物職人の特殊な技から生まれます。
とのことで、龍泉輪模様が刃先まで入ることで、切れ味にも違いが出るそうです。
5年連続グッドデザイン賞受賞
伝統を守りながら、次世代のものづくりも進めている龍泉刃物。
なんと、2013年から5年連続でグッドデザイン賞を受賞しているんです。
現在龍泉刃物のデザインを主に手がけているのは、越前市出身の渡辺弘明さん。
「これからはデザイナーと組むことも大事になってくる」
「古いものも新しい視点で見直すことで、700年の技術を現代にも活かせるのかな」
と増谷社長。
人気のステーキナイフは4年待ち
龍泉刃物の名前が世界に轟くきっかけとなった、こちらの『Steak Knife ASYMMETRY SK01(ステーキナイフ アシンメトリーSK01)』。
なんと、注文は4年待ちという人気商品です。
このステーキナイフが誕生したきっかけは、『星野リゾート 軽井沢ホテルブレストンコート』で総料理長を務めていた浜田統之氏が、新しくオープンするレストランで使うステーキナイフの制作を依頼してきたことでした。
レストランのオープンには間に合わなかったものの、このステーキナイフは、世界中が注目するあるステージで披露されることになりました。
それが、料理界のワールドカップとも呼ばれる『ボキューズ・ドール国際料理コンクール』。
日本代表として出場することになった浜田氏が、日本チーム専用のナイフとして龍泉刃物のステーキナイフを採用。
この際、審査員の多くが龍泉刃物のステーキナイフを持ち帰り、龍泉刃物の名前も世界中で有名になりました。
4年待ちのステーキナイフが目の前にあるだけでも感動しましたが、切れ味まで試させていただくことに。
スポンジを切ってみましたが、切るというよりも、滑らかに引くだけで切れていく感覚に驚きました。
実は私、このボキューズ・ドール国際料理コンクールが行われた年にフランスの調理学校に通っており、その校内で準備していた浜田シェフのリハーサルを間近で拝見していました。
まさかあの時のステーキナイフに、数年越しでこんなところで出会えるとは思ってもおらず、個人的な感動も大きかったです!
一家に一本は欲しい龍泉刃物
現在龍泉刃物が扱っている刃物の種類は約200種類。
牛刀や出刃包丁、ペティナイフなどの一般的な包丁だけでなく、レターオープナーやショコラナイフまで手がけています。
シュトーレン専用ナイフ
特注品もさまざまあるそうで、最近ではクリスマスに向けてシュトーレン専用のナイフを作ったそうです。
ギザギザの一つ一つに手で刃をつけているという手間のかかりよう。
どれくらい切れ味がいいのか気になります!
最高値の魚用包丁
さらに、現在扱っているものの中では最高値の魚用の包丁も見せていただきました。
こちらも龍泉輪模様が美しい!
これらの刃物は全て手作業で作られているため、一ヶ月で生産できるのは700〜800本程度。
1つの製品ができるまでに、だいたい2週間程度かかるそうです。
増谷社長にお話を伺いました!
株式会社 龍泉刃物社長・増谷浩司さん
最後に、増谷社長にお話を伺いました。
現在、龍泉刃物の職人さんは8名程度。
最近では福井のものづくりに憧れて県外からやってくる若者もいるそうです。
龍泉刃物では、職人さんは5〜6年かけて一つの工程を極め、12年目でやっと伝統工芸士の試験に挑戦できるとのこと。
「上から言われたからやるのではなく、自分からやりたい、と思えるきっかけを作りたい」と、若手育成にも意欲的な増谷社長。
また、「料理は生きる上で大事なもの。だから、切ることにストレスを感じないようなものがつくりたい」とものづくりへの強い思いも話してくれました。
実はこの後、越前打刃物の包丁作り体験をさせていただきました。
そこで、職人さんがどれだけ丹精込めて包丁をつくっているのかが改めてよくわかりました。自宅でも毎日その包丁を使っていますが、こうやって丁寧に作られたものを1本持っているだけでも生活が変わるなと感じています。
龍泉刃物さん、増谷社長、ありがとうございました!
株式会社 龍泉刃物の基本情報・アクセス・マップ
名称 | 株式会社 龍泉刃物 |
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住所 | 福井県越前市池ノ上町49-1-5 |
電話番号 | 0778-23-3552 |
営業時間 | 8:00~17:00 |
定休日 | 第2・4土曜、日曜、祝日 |
交通アクセス | 北陸自動車道 武生ICから車で約10分 JR王子保駅から徒歩約35分 |
駐車場 | あり |
SNS | instagram @ryusen.japan Twitter ー Facebook @ryusen117 |
WEBサイト | https://ryusen-hamono.com/ |