世界で1本だけのマイ包丁!龍泉刃物で越前打刃物の包丁づくり体験をしてきました
結婚でお引越ししたことをきっかけに、福井の伝統工芸品で暮らしを彩ることはできないか…と考えるようになりました。
そこで、「福井県の伝統工芸品と暮らす」というテーマで、福井の伝統工芸品を自宅で使い、記事で紹介することにしました。料理は毎日のことなのでいいものを持っておきたい!という思いを常々持っていたため、第二弾は、越前打刃物の包丁で決まり!
しかも、今回は手作り体験をしちゃいます。
越前打刃物の包丁手作り体験
今回お世話になったのは、伝統を守りながらも未来を見据えたものづくりをしている『株式会社 龍泉刃物』さん。
なんとこちらの会社、人気商品のステーキナイフが数年待ち!グッドデザイン賞5年連続受賞!など、すごいところがいっぱい。
まずは包丁手作り体験の様子を紹介します。
今回は2時間程かけて、夫と2人で主に包丁の仕上げを体験させてもらうことに!
工場に足を踏み入れると、そこかしこに大小さまざまな機械が。
今回は、刃の部分と、持ち手部分を合体させるところから体験が始まりました。
穴あけ
刃の部分には目印程度にしか穴が開いていないので、柄の部分に差し込み、穴をピッタリ合わせてボール盤で穴を開けます。
穴がずれると柄と刃がピッタリ合わなくなってしまうので、一番緊張する作業でした。
カシメ(ビスで固定)
続いて、刃と柄の部分をビスで固定します。
トンカチで叩くだけなのですが、これが意外と難しい!
しっかり叩かないと柄と一体にならないんです。
普段何気なく目にしている包丁の柄のぽちぽちの裏に、こんな苦労があるとは!!そもそも、この部分が刃と柄をくっつけている部分だということすら考えたことがなかったので、新たな気づきがありました。
研ぎ
続いて包丁を研いでいきます。
プロに教わる包丁研ぎはコツがたくさん!
普段なんとなくで包丁を研いでいる人も、ちょっとしたポイントに気をつけることで、今よりずっと切れやすくなると思います。
今回は、1000番と2000番の2つの砥石を使いました。(数字が大きくなるほど目が細かくなる)
研ぐときは砥石に対して15度の角度を保ち、刃先から根元まで全ての場所を均一に研ぎます。
スピードに気を取られてしまうと角度がブレてしまうので、ゆっくりでOK。
1部分15往復くらいで、砥石が乾いてきたら濡らすのも忘れずに!
刃先が研げたら、徐々に根元に向かって動かしていきます。
全体が研げたら2000番の砥石でも同じように…。
最後に革砥で研ぎます。
見たことがない器具ですが、これは研磨剤を擦り込んだ革。
砥石で研いだだけではまだ刃が荒れて、本来の切れ味にはなっていないそうです。
そこで、革砥で仕上げをすることで刃が滑らかになり、切れ味が格段に良くなるんだとか。
試しに新聞紙を切ってみると…
こんなにスパッと切れました!
見ているだけでも怖い…。
砥石で研ぐ前、革砥で研ぐ前も新聞紙を切ってみましたが、それぞれ全く切れない、すごく良く切れる、という状態でした。
しかし、革砥で研いだ後は、切っているつもりがないのにスパッと切れてしまうくらい、抵抗がなくなっていました。
自宅でも、包丁をしっかりメンテナンスするなら、砥石だけでなく革砥があるといいそうです。
柄磨き
次は柄の部分をきれいにします。
電動のヤスリの上で包丁を滑らせ、ビスと柄を完全に一体化させます。
さらに、背の部分も滑らかになるように調整します。
研磨
今度は同じような機械で刃の表面を磨きます。
磨き終わった包丁は、びっくりするくらいピカピカに!
ぼかし
続いてやってきたのは、四角い箱のような機械の前。
ここで、包丁にさらなるお化粧をしてあげます。
箱の中で吹き付けているのは細かな砂の粒子。
足で調節しながら吹き付けるのですが、ものすごい勢いで粒子が噴射されるので手がちょっと痛い…笑
しかし、出来上がった包丁の姿にはびっくり!
吹き付けた部分と吹き付けていない部分の違いがはっきりと出て、とても美しい見た目になりましたよね。
これでもう完成なのでは?と思いましたが、職人の仕事にはまだまだこだわりがあります。
ハンドル仕上げ
右がお手本の包丁。
左の包丁とは柄の輝きが違うのがわかりますよね。
私たちの包丁はまだまだマットな感じ。
ここからは、柄をきれいに磨いていきます。
最後に増谷社長に微調整をしていただき…
出来上がった包丁の柄はこんなにピカピカに!
名入れ
最後に包丁に名入れをしました。
今回は、2人のイニシャル「K&S」と入れることに。
アルファベットは、トンカチで叩くだけで跡がつくスタンプのようなものがあったので、それでサクッと入れました。
(とはいえ何度も練習しました。ずれてしまったら取り返しがつかないので、すごく緊張!!)
問題は「&」。
曲線はとても難しいとのことで、事前に何度も練習。
思い通りにはいきませんでしたが、味のある「&」が完成!
これはこれでいい思い出です。
ちなみに、プロの方が名入れをするとどうなるのか見せていただくと…
まるで筆で書いたような「龍泉」という文字を見せてくれました。
本当に職人芸です…。
最後はきれいな箱に入れてもらって完成!
なんと2019年春に『龍泉刃物ファクトリー&ストア』がオープンし、ワークショップなども開催されるようになったので、チェックしてみてください!
伝統工芸品・越前打刃物とは
越前打刃物は、福井県越前市で作られる伝統工芸品。
昭和54年に刃物産地としては全国で初めて伝統工芸品の指定を受けました。
その始まりは700年も前にさかのぼります。
京都の刀匠・千代鶴国安が、刀剣制作に適した地を求めてこの地にやってきて、刀剣制作の傍ら周辺の農民のために鎌をつくったのが始まりとされています。
また、伝統工芸品に指定されるには、かつての製法を守り続けていることが前提です。
もちろん越前打刃物も、日本古来の火づくり鍛造技術、手仕上を行っています。
熱した鋼を叩いて刃物にしていく様子は、畏怖すら覚えるほど。
今回は包丁の仕上げ体験を行いましたが、その状態になるまでの作業こそが越前打ち刃物の真髄と言えるのではないでしょうか。
越前打刃物の歴史・特徴・製造工程の詳細はこちら>>刃物産地で全国初の伝統工芸品『越前打刃物』とは?
株式会社 龍泉刃物の基本情報・アクセス・マップ
名称 | 株式会社 龍泉刃物 |
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住所 | 福井県越前市池ノ上町49-1-5 |
電話番号 | 0778-23-3552 |
営業時間 | 8:00~17:00 |
定休日 | 第2・4土曜、日曜、祝日 |
交通アクセス | 北陸自動車道 武生ICから車で約10分 JR王子保駅から徒歩約35分 |
駐車場 | あり |
SNS | instagram @ryusen.japan Twitter ー Facebook @ryusen117 |
WEBサイト | https://ryusen-hamono.com/ |