海の底を思わせる美しい模様。若狭塗の特徴・歴史・工程とは【福井県の伝統工芸品】
福井県の伝統工芸品の一つ『若狭塗』の概要、歴史、工程など、基礎知識をご紹介します。
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若狭塗とは
若狭塗は、福井県小浜市で生産されている漆器で、昭和53年に伝統工芸品に指定されました。
特に塗り箸が有名で、そのシェアは全国で80%以上を占めており、アメリカのオバマ元大統領を始め、多くの著名人に贈呈されています。
ちなみに、NHKの朝ドラ『ちりとてちん』の舞台は小浜市であり、主人公の実家は伝統的な若狭塗箸職人の家という設定でした。
若狭塗の特徴
若狭塗の特徴はその模様にあります。
卵殻模様、貝柄模様、起こし模様などの模様があしらわれていますが、これは海底を表現しているとも、夜空の星と形容されることもあります。
全て手仕事なので、模様は職人によって千差万別。
一つたりとも同じ模様の製品はないと言えます。
若狭塗の歴史
若狭塗の模様は海底を表している、とご紹介しましたが、「江戸時代のはじめごろに、漆塗りの職人が蘇洞門(そとも・小浜湾の外側にある名勝)の海底の美しさを表現した」と伝えられており、これが若狭塗の始まりとされています。
具体的には、慶長年間(1596~1615年)に、小浜藩の漆塗り職人・松浦三十郎がデザインし、中国から伝わった漆器づくりの技術にヒントを得て作ったそうです。
その後、この原型を改良した『菊塵塗(きくじんぬり)』、『磯草塗(いそくさぬり)』といった技法が生まれ、1660年頃に卵の殻や金、銀で加飾する現在の技法が完成しました。
これを当時の小浜藩主が若狭塗と名付け、保護・奨励したことで、若狭塗が盛んに作られるようになったと言われています。
若狭塗の工程
若狭塗の工程は60以上もあり、木地づくり以外は全ての工程を1人の職人が行います。
福井県の伝統工芸品には『越前漆器』もありますが、越前漆器は分業制が確立しており、工程ごとに熟練の職人がいるのが若狭塗と大きく異なります。
若狭塗の工程は次のページで紹介しています。