デザイン性とストーリー性の高い福井・鯖江のグッドプロダクトが並ぶ『SAVA!STORE』とは?
福井県鯖江市河和田町。
JR鯖江駅から車で15分ほどの山間の集落にあるお土産ショップ『SAVA!STORE(サヴァストア)』には、福井県のものづくりの技術がぎゅっと詰め込まれたアイテムが盛りだくさん。
今回はものづくり産地ならではのアイテムセレクトをするSAVA!STOREについてご紹介していきます。
突然ですが、福井県のお土産と聞くとどんなものを想像しますか?
福井と言えば、羽二重餅や五月ヶ瀬、へしこや美味しい日本酒・・など、美味しいグルメが盛りだくさん。
また、冬場になるとカニを目当てに県外からも多くの人が訪れます。
しかし、福井県から持って帰ることのできるものは食の思い出だけじゃないんです・・!
実は、福井県の中でも鯖江市、越前市、越前町がある丹南エリアと呼ばれる場所は、全国屈指のものづくりのまち。
このエリアは、越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼といった伝統工芸品をはじめ、眼鏡、繊維といった地場産業が半径10km圏内に集積している、全国的に見ても大変珍しい地域なのです。
そんなものづくりのまちに、メイドイン福井のアイテムをずらりと取り揃えたショップ、SAVA!STORE(サヴァストア)はあります。
伝統工芸品と聞いて「とっつきにくい、現代の生活とはかけ離れたもの」といった印象を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、SAVA!STOREで取り扱うのは、もっと身近に福井の伝統工芸を感じられるようなアイテム。
デザイン性とストーリー性を重視してセレクトされたアイテムたちは、どれもそれぞれの個性が引き立っていて目を引きます。
「福井県のお土産に何を買って帰ろうかな・・」
「ものづくりが好きで、洗練されたとっておきのアイテムを探している」
「今までの伝統工芸品は古臭くて、どうにも手が出しづらい」
そんな風にお考えの方にぜひ立ち寄っていただきたいショップです。
この記事のライターでもあり現在SAVA!STOREのスタッフである私谷垣から、作り手と買い手の架け橋となるSAVA!STOREとはどんなお店なのか、またオススメのアイテムなどを詳しくご紹介していきます。
SAVA!STOREとは?
SAVA!STOREは、「めがねのまち」として知られる、福井県鯖江市に実店舗を構えるお土産ショップ。
ストーリー性とデザイン性のある、”福井のグッドプロダクツ”を取り扱っています。
鯖江駅から東の方向に車を15分ほど走らせると河和田地区というエリアに入ります。
この人口4000人ほどの小さな集落にSAVA!STOREの直営店はあります。
SAVA!STOREはTOURISTORE(ツーリストア)という小さな複合施設の中に入っており、施設内には他にも漆器職人のレクチャーを受けながら漆塗り体験ができるスペースや、観光案内所、漆塗りの自転車『URUSHIBIKE』のレンタサイクルなどがあります。
直営店がオープンしたのは2019年の4月。
それまでは『行商SAVA!STORE』という名前で、イベント出店やPOPUPSTOREなどで福井のものづくりをお伝えしてきました。
SAVA!STOREでは、見た目の良さや機能性に優れたメイドイン福井の商品を取り揃えていますが、それだけではなく、アイテムそれぞれの特徴やストーリーをしっかりと伝えることも大切にしており、職人やプロが作った”GOOD”なアイテムをストーリーまでしっかりと買い手にお届けし、作り手と買い手を繋げる。そんな役割を担っています。
また、直営店では期間限定のイベントが開催されることも。
オリジナルTシャツの展示会『SABAE T-SHIRTS SUMMER EXIBITION』
福井のお雑煮が楽しめる「お雑煮セット」をはじめとした、お正月き企画『冬の食卓展』
SAVA!STOREを運営するデザイン事務所『TSUGI』について
SAVA!STOREを運営するのは、福井県鯖江市を拠点に活動するデザイン事務所TSUGI(ツギ)。
大阪から移住してきた代表の新山直広さんが2013年に結成、そして2年後の2015年に法人化に至りました。
“次”の時代に向けて、その土地の文化や技術を引き“継ぎ”、新たな関係性を“接ぐ”という思いが込められており、地域に何が大切で何が必要かという問いに対して、リサーチと実践を繰り返しながら、領域を横断し、これからの時代に向けた創造的な産地づくりを行っています。
出典:https://tsugilab.com/about/
TSUGIという名前には上記のような意味が込められており、本業であるデザインワークの他にも、SAVA!STOREが入る『TOURISTORE』の運営、さらに、“見て・知って・体験する” 作り手たちとつながる体感型マーケット『RENEW(リニュー)』のアートディレクションなど、事業は多岐に渡ります。今年もRE:RENEW2020が開催決定。
中でも今回ご紹介するSAVA!STOREでは、全国各地のイベントへの出店や展示会への参加などの『行商SAVA!STORE』の実施および直営店の営業を通して、福井県のものづくりの魅力を外に発信することで、福井県にわざわざ足を運んでもらう仕組み作りをしています。
ただ、ここで1点気になるのが「なぜデザイン事務所が自らショップを手がけるのか」ということ。
その答えはTSUGIのビジョンに隠されていました。
TSUGIは半径10km圏内に7つの地場産業が集積するエリアで活動しています。産地内でデザインを生業するときに大事だと感じているのが「売ることまで考えられるか」ということ。TSUGIでは、“支える・作る・売る・醸す”を4つのキーワードを軸に、デザイン事務所としての役割だけではなく、自社ブランドや店舗の運営を行っています。流通までサポートをすること。私たちにとってデザインの役割は、あるべき状況をトータルでつくることだと考えています。産地や地域のあるべき姿をデザインを通して何ができるのか、これらが私たちの使命だと考えています。
出典:https://tsugilab.com/about/
TSUGIが掲げるビジョンは「創造的な産地をつくる」こと。
代表の新山さんは「思考停止ではいけない」という言葉をよく口にします。ものづくりの世界は景気に左右されてしまうことから、過去のバブル崩壊などでまち全体がひどく停滞したことも。
ただそんなことを感じさせないほどに、今も産地の息吹が水々しく感じられるのは、まち全体として常に時代のニーズに寄り添い、各々が常に「このままではいけない」と変化への意識を醸成してきたからではないかと考えます。
そして、現在のコロナウィルスの時代。
廃業という言葉を耳にすることも少なくなくなりました。
この社会情勢がもたらす産地存続の危うさを自分ごととして捉えながら、産地全体で可変性への前向きな姿勢を持つことが「創造的な産地」作りには必要なのだと、「思考停止ではいけない」という言葉からはそんなメッセージが伝わってくるようでした。
ある会社に属する「インハウスデザイナー」という言葉をもじって「インタウンデザイナー」と謳うTSUGI。
まちのデザイナーとして、「時代の変化にきちんと向き合い、考え、行動できる人を増やす」ことをデザインを通して実現していこうと掲げています。
SAVA!STOREオリジナルアイテムのご紹介
TSUGI、SAVA!STOREについて詳しく説明できたところで、ここからはSAVA!STOREオリジナル商品を少しピックアップしてご紹介していきます。
めがね素材からできたアクセサリーブランド『Sur』のイヤーカフシリーズ
Surは、「めがねのまちさばえ」として知られる福井県鯖江市で生まれたアクセサリーシリーズです。
もともと眼鏡フレームの廃材活用をきっかけにスタートしたブランドで、Surplus(余分なもの=廃材)という単語から3文字とってSurと名付けられました。
肌に馴染む透明感とシンプルなデザインが特徴的で、透き通るような質感が印象的なパーツには、眼鏡のフレームに使われるセルロースアセテートという素材が使用されています。
セルロースアセテートは綿花から作られる植物由来樹脂で、石油系の合成プラスチックとは異なり、柔らかく人の肌にそっと寄り添ってくれます。
さらにポイントなのが、とっても軽いということ。
長時間着用してても疲れにくく、毎日使っていても耳が疲れません。
地元の眼鏡会社さんと一緒にアクセサリーを製作しています。
そんなSurからこの夏、新作のイヤーカフが誕生しました。
新型コロナウィルスの影響でマスクを着用することが常態化し、耳元のおしゃれが自由に楽しめなくなってきている状況に対し、テコ入れをしたいと作られたアクセサリーです。
眼鏡フレームに使用されるアセテート樹脂のみを使ったシンプルな形状は、マスクの紐に干渉せず、耳に負担もありません。また、マット仕上げを施した柔らかな質感で、サイズ違いで重ね付けするのもとっても可愛いです。
しかも軽くて着けていることを忘れてしまうぐらい・・
毎日のおしゃれを少しでも楽しめるように、自分だけのお気に入りの組み合わせを見つけてみてはいかがでしょうか。
SAVA!グッズ
SAVA!STOREの中でも特に大人気なのが、SAVA!STOREオリジナルのデザインTシャツ「SAVA!Tシャツ」と「SAVA!キャップ」です。
まずはTシャツからご紹介していきます。
人気NO.1デザイン「FISH」
今回ピックアップするのは、今春に出来上がったばかりの新作Tシャツ5つ。福井県ならではのデザインモチーフが心をくすぐります。
SAVA!Tシャツ/kyoryu01
恐竜が、福井の名産品である蕎麦やカニ、お米、さらに鯖を手に。福井づくし。
SAVA!Tシャツ/FUKUI STREET BOYS
フェスを楽しむためにデザインされた一枚・・。来年こそは会場で着れますように。
SAVA!Tシャツ/OPT BOY
ゆるっと描かれた眼鏡少年。見つめ合っていると不思議な気持ちになります。
SAVA!Tシャツ/OPT02
柔らかなタッチでデザインされた眼鏡。ホワイトは特に女性に人気です。
SAVA!Tシャツ/FRAME04
壊れた眼鏡をモチーフにしたFRAMEシリーズの4番。眼鏡を分解して再配置しています。
ボディのサイズはS、M、Lの三種類。
写真のモデル着用サイズはMサイズです。
また、カラーは基本的にホワイト、グレー、ネイビーの展開。(※デザインによって異なります。)
なお、この新作からボディを新しくしたこともあり、既存ボディのものはセール中です。数量限定なので気になる方はチェックしてみてくださいね。
SAVA!キャップ
続いては、鯖江市ならではのデザインをぎゅっと詰め込んだオリジナルのSAVA!キャップ。
ボディのカラーはネイビー、ベージュ、カーキの三種類です。
シンプルでありつつも印象的なデザイン。
特にsabaは鯖のタイポグラフィの中に眼鏡が隠されているんです。
まだまだ日差しが降り注ぐ日々。
SAVA!CAPを被って鯖江を周遊してみてください。
使い手に寄り添うサングラス『tesio』
「めがねのまちさばえ」として知られる鯖江市は、6人に1人が眼鏡関係従事者であると言われています。
そんな眼鏡の産地で日本人の顔の骨格に合わせて作られたサングラスが誕生しました。
その名も『tesio(テシオ)』
鯖江市の眼鏡会社谷口眼鏡が製造、全体のブランディングをTSUGIが担当しています。
紫外線による目へのダメージって結構大きいものの、サングラスを日常的にかけるのは勇気がいりますよね。
しかし、tesioは日常使いが想定されており、暮らしに馴染むようにデザインされているのです。
日本人の顔の形を徹底的に研究して設計されたフレームは、アセテート樹脂の素材から、ひとつひとつ職人の手で削り出し磨かれて完成します。
手の温もりが伝わるような顔を包まれる掛け心地は、設計の妙とハンドメイドのなせる技です。
さらにtesioは全ての製品に”リペア問診票”が付いており、傷がついてしまったり、部品が壊れてしまっても職人さんがまた修理して、元に戻してくれます。
長いお付き合いのできるサングラスtesio。
SAVA!STOREでは、HAREとMACHIの2種類を取り扱っています。
気になる方は店頭でかけ心地を試してみるのもよいかもしれません。
MDFの拭き漆箱
SAVA!STOREがあるTOURISTOREの中にはなんと漆器工房があるんです。創業100年近い老舗漆器工房錦古里(きんこり)漆器店が作るのは、漆塗りの大人かっこいい収納ボックス。
MDFという素材と拭き漆という漆塗りの技法を掛け合わせて作り上げられています。
書類を入れるのに最適なA4サイズ(左)、ちょっとした小物、ばらつきがちな無くしたくないものを入れるのにちょうどいいA7サイズ(右)
漆塗りと聞くと、どうしても赤と黒のピカピカのお椀を想像してしまいますが、このMDFの箱は一味違います。
そもそもMDFとは家具などに使用されるような簡単に手に入る身近な建材なのですが、漆を塗ってみると重厚感のある風合いに変化していきます。
一見安いものでも、漆を塗ることでイメージが180度変わり、漆のイメージをどんどんアップデートしていく可能性に溢れたアイテムなのです。
また、漆は紫外線を浴びるとどんどん色が変わるといった特性があり、経年変化も楽しめるアイテムです。
桃山窯のフリーカップと小皿
ラストにご紹介するのは桃山窯のそばちょこと小皿。
SAVA!STORE焼き物部門で大変人気なアイテムです。
鉄かんなで刻まれた千点紋の模様が、モダンな雰囲気でとってもキュートで心奪われます。
特にこのそばちょこと小皿は汎用性抜群で、様々な場面で重宝します。
使いやすさはもちろんのこと、見た目の可愛さから日々の食事が楽しみになりそうなアイテム。
1つ1つ手作りで作られているので、柄の出方にも個体差があり、そこも愛着が湧いてしまうポイントです。
手作りの温もりと釉薬が生み出す美しい色合いを感じることのできる素敵な一品です。
スタッフから見たSAVA!STOREの魅力
私はスタッフをして1年ほど経ちますが、SAVA!STOREの魅力は一見まとまりがないことだと思います。
それもそのはず。SAVA!STOREはただのセレクトショップではなく、福井県で生まれた個性あふれるアイテムを集めることで、この産地ならではの様々な風景をぎゅっと詰め込んだお店なのです。
ただ、一貫しているのは「良い商品であるかどうか」ということ。
ここで言う良い商品とは、見た目や質の良さはもちろんのこと、作られている背景までを買いたいかと思えるかということ。
「ないなら作ればいい」と、呼吸をするくらい当然のことのように、そんな言葉をこぼす職人さんたち。
歴史が長いから良いものという価値基準もありますが、この産地の魅力は時代の変化に合わせて作るものを変えられる、その柔軟さにあるだろうと考えます。
持続的な産地づくりの中で、変わるものと変わらないものを峻別し、アップデートを試みつづける姿勢が産地のグッとくるポイント。
ひいてはそんな産地のアイテムを取り揃え、作り手と買い手の架け橋を担っていることがSAVA!STOREの最たる魅力であると思っています。
「福井県のものづくりにもっと触れたい」
「SAVA!STOREの雰囲気が好きだ!行ってみたい」
「TSUGIの活動が気になる」など
そんな風に思ってくださった方はぜひ鯖江に足を運んでみてくださいね。
SAVA!STOREの基本情報・アクセス・マップ
店名 | SAVA!STORE(サヴァストア) |
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住所 | 福井県鯖江市河和田町19-8 |
電話番号 | 0778-25-0388 |
営業時間 | 12:00~18:00(土日祝:11:00~18:00) |
定休日 | 火・水曜日 |
交通アクセス | JR鯖江駅から車で15分 |
駐車場 | 有り |
wi-fi/コンセント | wi-fiあり/コンセント無し |
SNS | instagram @SAVA!STORE_fukui Twitter ー Facebook @savastore.fukui |
WEBサイト | https://savastore.jp/ |