『福の愉』誕生!福井大学×吉田酒造の日本酒を飲んでみました!
『白龍』で有名な永平寺町の吉田酒造さんと、福井大学の学生さんによってつくられた純米大吟醸『福の愉(ふくのたのしみ)』についてご紹介します!
福の愉を飲んでみた!
まずは飲んでみよう!ということで、自宅で早速『福の愉』を飲む会を1人で開催しました。
福の愉をつくった学生さんに、「どのおつまみが合うと思いますか?」と聞いたところ!「へしこ!」という至極福井人らしい回答が返ってきたので、定番ですが、おつまみはへしこに決定!
(へしことは、主に鯖を塩漬けにし、ぬか漬けにした福井の郷土料理のこと)
ですが、鯖のへしこでは普通すぎるので、東京の福井アンテナショップ『ふくい南青山291』で、こんなへしこを買っちゃいました。
三国の有限会社スターフーズさんが作っているイノシシのへしこ!
フライパンでさっと焼くだけなのでとってもお手軽です。
福の愉は辛口の中でも甘口よりのお酒で、フルーティーさが特徴。
普段あっさり系ばかり飲んでいる私には、結構スキッとした印象に感じられましたが、日本酒独特の匂いや重さが苦手な方には飲みやすいと思います。
イノシシのへしことの相性も抜群で、あっという間に飲み切っちゃいました。
美味しかったです!
福の愉ができるまで…
福井県の五大学が連携して取り組む、地方創生推進事業(coc+)の中に『ふくいブランド創出』という部門があります。
今回の福の愉は、この取り組みの一貫で、福井大学の『起業化経営論』という授業の中で作られたものです。
この授業では、経営者として活躍する福井大学OBの講義を通して、工学系の学生が経営学を学んでいます。
今回、酒造りをすることになったため、以前から交流のあった吉田酒造の社長にも講師として来ていただいたとのこと。
学生たちは、米作り、酒造り、デザイン、営業の4チームに分かれ、田植えや稲刈りなどの米作りから関わりました。
授業内でお酒づくりをする大学は少なくないですが、米作りからするとなるとかなり珍しいとのこと。
酒造りの際も、学生さんはできる限り作業に参加し、吉田酒造さんとともに『福の愉』の完成に尽力したそうです。
授業を担当する竹本准教授は、「誰かがものを作らなければ売ることができないので、『ビジネス=仕入れて売ること』ではない。そして、ものを作っても売れなければ意味がないので、酒造りを通して、0を1にすることを学んでほしい」と言います。
コンセプト
「福井大学の岩井副学長が求める日本酒」をテーマに始まった、今回はの日本酒づくり。
岩井副学長の希望は、
「学会などの交流の場でプレゼントできる高品質なお酒」
「ワインのようなフルーティーさが味わえるお酒」
の2つ。
完成した福の愉は、ネイビーの落ち着いた色の箱に華やかなデザインが施されており、プレゼントとしての見た目はバッチリ!
味わいも、すっきりとフルーティーさがあり、「目指すお酒に合うものが作れた」と、学生さんも満足げでした。
『福の愉』名前の由来
『福の愉』という名前にも注目!
ここには2つの意味が込められているそうです。
まずは「福」。
これはもちろん「福井」の「福」、そして、「幸福」の「福」という意味。
では、「愉」はというと…。
福井生まれの有名な歌人、橘曙覧(たちばなのあけみ)の『独楽吟』にまとめられた歌は、すべて「たのしみは」で始まることで有名で、この「たのしみ」に「愉」という文字を当てたとのこと。
「愉」には「楽しい」、「喜ばしい」だけでなく、「和らぐ」という意味もあるそうなので、大切な人に優しい気持ちでプレゼントしたくなるような名前ですよね。
ラベルには素敵な意味が…
さらに、ふんわりした可愛らしさも感じるこのラベルにも、意味が込められています。
描かれているのは、福井県の花、水仙。
赤い線は、贈答用らしく、人と人とのつながりを表し、幸福度がもっと上がるようにとの思いを込めて、右上がりに描いたそうです。
福の愉の営業チームリーダを務める長谷川さん
最後に、福の愉の営業チームリーダを務める、大学院工学研究科1年の長谷川航平さんにお話を聞きました。
営業チームリーダー 長谷川航平さん
ーー福の愉が完成して、このように販売促進にも関わっていますが、どんなお気持ちですか?
とてもいい経験ができたと思っています。
ターゲットに定めた岩井副学長は、大学関係者の集まりで福の愉をたくさん振舞ってくださったそうなので、気に入ってもらえているのかなと思い、嬉しいです。
まだ直接感想は伺っていませんが、完成記者会見では「自分の求めるお酒を作ってもらえて嬉しい」とおっしゃっていたので、作った僕たちも満足しています。
日本酒も、以前に比べてより好きになりました。
ーー営業チームを選んだ理由はなんですか?
もともと人前で話すことが苦手だったので、自分の成長のためにあえて営業を希望しました。
取材交渉や、大勢の方の前で話すなど、滅多にできない経験ができてよかったです。
やってみると、思っていたよりもスムーズに人と話すことができ、苦手意識も克服できました。
ーー「福の愉」に関わってどんなことが勉強になりましたか?
ものをゼロから作るには、細かい仕事がたくさんあることがわかりました。
例えば、キャップに貼っているシールやラベルに使っている和紙は自分たちで発注したのですが、どれだけ発注するかだけでなく、どこから発注するかから考えなくてはなりませんでした。
他にも、値段設定など、考えるべきことがたくさんあることを肌で感じ、大変勉強になりました。
長谷川さんと起業化経営論の教員 竹本准教授
学生さんと地元の企業が協力した作った新しい日本酒『福の愉』。
来年度以降の販売は未定とのことなので、見かけたらぜひ購入を!