仏像なのにキュートでおもしろい!?「福井の仏像」展にいってきました
みなさんは「白山」を知っていますか?
白山は、北陸の人々の信仰を一身に集める北陸の霊峰。
その美しい景色から、多くの登山ファンにも愛されています。
福井からでも、遠くに白山の山々が見えます。
福井の人々も、はるか昔から白山に神様の存在を感じ、信仰してきました。
その白山が泰澄大師によって開山されてから、2017年でなんと1300年を迎えるのだそうです。
それを記念して福井市立郷土歴史博物館にて、2016年10月14日(金)~11月23日(水)に開催されたのが、「福井の仏像−白山を仰ぐ人々と仏たち−」。(このイベントは終了しています。)
福井県嶺北地区の、平安初期~鎌倉後期ころまでの仏像が所狭しと展示されています。
日頃、福井で仏像!ってあまり意識したことないですよね。
でも、丁寧に見てまわると、おもしろいいわれのある仏像や有名な仏像もたくさんあるのだとか。
集まったのは日頃は拝観の難しい仏像ばかり。
なんと、半分以上は秘仏なんだとか!
その場にいるだけで、たくさんのパワーをもらえそうですよね。
今回はそんなイベント「福井の仏像」から、いくつかの仏像をピックアップしてご紹介します!
滝波五智如来(たきなみごちにょらい)
入って一番はじめに目に入ってくるのは、滝波町の「五智如来」。
密教の仏像で、曼荼羅の一番中心に描かれる仏像なのだそう。
五智如来は5つの仏がそれぞれ密教の5つの知恵を表しています。
この五智如来ですが、かつては福井市滝波町の高野山薬王寺に祀られていたといわれています。
しかし薬王寺が一向一揆の焼き討ちにあい、五智如来も壊される危機に。
そこで当時の人々は、壊されるくらいなら!ということで、なんと谷に放り投げてしまったのだとか。
もう放り投げたことも忘れ去られたころ、なんだか毎晩谷底が光っているんだけれど…ということで谷底を探してみたところ、五智如来が見つかり、祀り始めたんだそうです。
なんだかドラマチックな話!
実はこの五智如来、修理が終わったばかり。
堂々とした姿に修復されています!
勢至菩薩立像(せいしぼさつりつぞう)
この仏像は、今回の展示の中でも一番新しい鎌倉時代の仏像です。
肥後定慶という人の作風に影響を受けていると言われているのだとか。
見ておわかりの通り、なんだか目が気になりますよね。
こんな仏像もあるんだ!と、はじめ見たときはなんだかワクワクしちゃいましたが…。
なんとこれ、はじめからこうだったわけではなくて、修理の際に失敗しちゃったようなんです!
この仏像は、実は割首といって、顔部分は前後に外すことができるようになっています。
胴体も同じように前後に外すことができて、中を空洞にくり抜いて作られているんです。
もちろん、目を修理する場合は、その顔部分を外して、中から修理するのが普通。
それがこの仏像が修理されたときには、なぜだか前から目をいれようとしたみたいなんです。
それが大失敗!本来は左目と同じように、静かで柔和な印象になるはずだったのですが…。
でも、なんだかこれはこれで愛嬌があってキュートですよね。
十一面女神坐像(じゅういちめんにょしんざぞう)
これは仏像界では超有名な仏像!なのだそう。
実は、神仏習合を表現している、しかも女性の仏像なんです!
白山の神様は「白山姫」だと言われており、姫とついているように、女性の神様なのだそうです。
さらに、白山姫は11面を持つ観音さま(=仏)なのだと言われています。
神様なのに仏様だなんて、今の私たちが聞くと、なんだか不思議ですよね。
その白山姫を表現したのがこの仏像。
つまりこの仏像、とっても珍しい「女性」で「神様」で「仏様」な仏像なんです!
また、神仏習合の仏像で11面観音はとっても珍しく、それがこんなに美しく残っているのはとても貴重なんだとか。
そのせいか、日本各地で仏像の展示会があるときには、ほとんど必ずといっていいほど呼ばれる人気者。
日本全国に出張している大忙しな仏像です。
イベントやワークショップにも参加してみよう!
いかがでしたか?
福井に、こんなにユニークで魅力的な仏像があるなんて初めて知る人も多いハズ。
もっと深く知りたい!という方のために、今回の「福井の仏像」展では、学芸員の方が仏像について解説してくれるイベントがいくつも開催されました。
例えばギャラリートーク。
学芸員の方が、展示について解説してくれるイベントです。
学芸員の方は、福井の仏像に関してはもちろんプロ中のプロ。
今回ご紹介しきれなかった、おもしろいエピソードをたっぷり聞けるチャンスなんです!
他にも、見どころ講座や、「はんこで再現!仏像のすがた」、「仏像メイクで菩薩にへんしん!」といったワークショップや「仏像×ダンス」ワークショップ&パフォーマンスなど、イベントが目白押し。
展示会にあわせて参加すれば、福井の仏像の世界にどっぷりハマっちゃいそう。
福井の仏像、会いにいってみては?
「福井の仏像」、いかがでしたでしょうか。
ここで紹介しきれなかった仏像も、裏におもしろおかしいエピソードを抱える、とっても魅力的な仏像ばかり。
学芸員さんも不思議な魅力のある方で、お話を聞けば、福井の仏像がきっと好きになること間違いなし。
福井市立郷土歴史博物館では、常設展示とさまざまな企画展を楽しむことができます。
常設展示室では、
縄文時代から昭和時代までの福井の歴史を、「ふくいのあゆみ」「古代のふくい」「城下町と近代都市」「幕末維新の人物」の4つのテーマで構成し、大きな復元模型や映像などを駆使してわかりやすく紹介しています。
出典:歴史博物館の展示・講座
ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
イベント名 | 福井の仏像 |
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開催地 | 福井市立郷土歴史博物館 |
住所 | 福井県福井市宝永3-12-1 |
電話番号 | 0776-21-0489 |
開催期間 | 2016年10/14(金)~11/23(水) |
開館時間 | 9:00~19:00(11/6以降は~17:00) |
観覧料 | 大人 600円 高校・大学生 500円 |
アクセス | 福井駅から徒歩約15分 えちぜん鉄道 新福井駅から徒歩約10分 福井鉄道福武線 仁愛女子高校駅から徒歩約15分 福井北ICから車で約15分 福井駅西口バスターミナル ①番乗り場より京福バス 県立病院丸岡線(36)、心臓センター町屋線(57)などで「郷土歴史博物館」下車 徒歩約5分(福井駅からの運賃は100円) |
駐車場 | 普通乗用車駐車場(30台)、大型バス用駐車場(6台・養浩館庭園と共用) |
WEBサイト | http://www.history.museum.city.fukui.fukui.jp/tenji/tenran/butsuzo.html http://www.history.museum.city.fukui.fukui.jp/ |