無料!?郷土歴史博物館に行くなら福井城舎人門遺構も見逃すな!【福井市】
福井の歴史を知りたいなら、福井市立郷土歴史博物館がおすすめ!
その中でも今回ご紹介したいのが、館外展示物の『福井城舎人門遺構』です。
入館料いらずで福井の歴史が間近で感じられる展示物、ということで、その見どころを詳しく解説します!
福井城舎人門遺構とは?
江戸時代、福井には福井城というお城がありました。
(現在は福井県庁が建っています!!詳しくはこちら)
そして、福井市立郷土歴史博物館の建設にあたって発掘調査を行ったところ、外堀や石垣、門の礎石など、福井城にまつわるさまざまな遺構が見つかったんだそうです。
そこで、この調査結果やかつての福井城下を描いた絵図などをもとに、福井城舎人門遺構が復原されました。
現在は郷土歴史博物館の館外展示物として無料で公開されているので、散歩がてらふらっと立ち寄って見学することも可能!
ということで早速、福井城舎人門遺構に行ってきました!
参考:福井城西側、現在の中央公園にある、かつての福井城周辺地図(上のほうに郷土歴史博物館がある)
福井城舎人門遺構の見どころ①舎人門
内側(博物館側)から撮った舎人門
福井城舎人門遺構のメインは、高さ約6m、幅約10mもある舎人門(とねりもん)です。
舎人門は、かつての福井城北側の外堀に設けられた門の一つで、『清兵衛町見附御門(せいべいちょうみつけごもん)』『江戸町口御門』『御泉水裏御門』など、さまざまな呼び名があったようです。
しかし、江戸時代の終わり頃(19世紀中頃)の様子を描いた福井城下絵図には『舎人門』という名前で出てくるそうで、現在もその名前で呼ばれているようです。
復原されている門は、木造瓦葺の高麗門形式。
福井市の大安禅寺や越前市の正覚寺に同様の形式の門が現存しているため、それらを参考にして復原されたそうです。
屋根は出土品をモデルにして、当時越前(現在の福井県北部)で作られていた越前赤瓦を復原して葺いたものです。
門のそばには舎人門礎石も展示されています。
これは、門の南東の柱の位置で出土したという笏谷石製の礎石。
笏谷石(しゃくだにいし)とは、かつて福井で採掘されていた石で、福井城や県内の歴史ある建造物、お寺や神社などでは頻繁に目にすることがありますが、現在は採掘されておらず、幻の石とも言われています。
この礎石によって門の位置や柱の太さなどが推測され、舎人門の復原に役立ったそうです。
福井城舎人門遺構の見どころ②石垣と土居
かつて福井城の周りには幾重もの堀と石垣、土居があり、これらで福井城を守っていました。
本丸を中心に堀が幾重にもめぐるこの形は、環郭式(かんかくしき)と言います。
発掘調査の際には舎人門から伸びる石垣と土居を確認することができましたが、明治時代の地面から上の部分は削られていたそうです。
そのため、復原の際は6段分(約2.7m)の石を積みなおしたり、土を盛りなおしたりしました。
また、石垣にも笏谷石が使われていたため、復原には福井城跡の発掘調査で出土した石垣石を再利用しています。
福井城舎人門遺構の見どころ③外堀
城下絵図には、かつての外堀の幅は九間(16.4m)もあったと記されています。
写真にもあるように、現在の外堀の外側から、親水コーナーに表示された江戸時代の堀の端の線がかつての本来の外堀の大きさ!
実際に行って、その大きさを実感してみてください。
福井城舎人門遺構の見どころ④武家屋敷跡
現在郷土歴史博物館が建っている場所は、かつては武家屋敷地だった場所で、江戸時代の終わり頃には礒野(いその)さんと渋谷さんの屋敷があったことがわかっています。
発掘調査によって、屋敷内の水道、庭の池の跡、建物が建っていた礎石、ごみを捨てた穴、さらには磯野と墨書されている馬の目皿などが見つかりました。
また、礒野さんの庭の池は、舎人門遺構のお隣にある御泉水屋敷(養浩館)から流れてくる水を利用した池で、あふれた水は舎人門脇の地下に設けた水路を通って堀に流れていたそうです。
看板の手前にある石と奥の塀の間には土橋もあったんだとか。
福井城舎人門遺構の見どころ⑤芝原上水
かつて、江戸市中には水道がきちんと整備されていたという話を聞いたことがあるかもしれませんが、奥州仙台城下、奥州米沢城下、常陸国水戸城下など、江戸以外にも水道が整備されていた城下町は存在していました。
そして、福井城下もその一つです。
参考:福井城西側、現在の中央公園にある、かつての福井城周辺地図(上のほうに郷土歴史博物館がある)
福井城の本丸から南東側の屋敷では、井戸を掘って地下水を利用していましたが、本丸の北側から東側の屋敷では、九頭竜川の水を取り入れて整備された上水道(芝原上水)を利用していました。
芝原上水は、福井城東北の入口である志比口から城下に入り、いくつかの支流に分かれていました。
舎人門遺構にある溝は、この芝原上水が通った水路の跡です。
この水路から、木や竹でできた長い管(樋)を通って、それぞれの屋敷に水が引き込まれていたそうです。
福井城舎人門遺構の見どころ⑥地層
敷地内には地層も。
これは自然に土がたまってできたわけではなく、工事や災害復興の際に土を盛って整地を繰り返したことによってできたものです。
この地層から、明治時代の福井城の廃城、解体、戦災、震災からの復興といった歴史をうかがい知ることができます。
御泉水公園にも注目!戦災を生きのびた松
舎人門遺構と養浩館庭園の間にある御泉水公園にも足を伸ばしてみましょう。
福井は昭和20年7月19日に大きな空襲の被害を受け、多くの樹木も焼失しましたが、この松は当時の福井市乾新町(現在の乾徳2丁目付近)で被災したにもかかわらず、現在まで生き延びている貴重な松の木です。
無料で見ることができる、とってもお得な館外展示物、「福井城舎人門遺構」。かつての人々の生活や福井城の姿を思い浮かべることができる貴重な資料なので、ぜひゆっくり歩いてみてください。
福井城舎人門遺構と併せて、周辺の福井城関連スポットも訪ねてみては?
福井城舎人門遺構の基本情報・アクセス・マップ
名称 | 福井城舎人門遺構 |
---|---|
住所 | 福井県福井市宝永3丁目12-1 |
電話番号 | 0776-21-0489(福井市立郷土歴史博物館) |
交通アクセス | JR福井駅から徒歩15分 えちぜん鉄道 新福井駅から徒歩約10分 福井鉄道 仁愛女子高校駅から徒歩7分 福井鉄道 福井城址大名町駅から徒歩約10分 北陸自動車道 福井北ICから車で15分 |
駐車場 | あり |
SNS | instagram https://www.instagram.com/explore/locations/4001665/ Twitter ー Facebook @fukuihistory |
WEBサイト | http://www.history.museum.city.fukui.fukui.jp/ |