越前海岸の製塩所は海の恵み・山の恵みを両方楽しめる!『志野製塩所』【福井市】

越前海岸の製塩所は海の恵み・山の恵みを両方楽しめる!『志野製塩所』【福井市】
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越前海岸にある『志野製塩所』では、オーナーの志野佑介さんが手作業で製塩作業をしています。
珍しい製塩の工程を間近に見ることができ、併設のショップ『しの屋』には志野さんこだわりの農産物が所狭しと並んでいます。
今回は製塩体験や、『しの屋』で提供されるランチなどについてご紹介します!
筆者おすすめのレモネードも必見!

志野製塩所ってどんなところ?

志野製塩所は、福井市鮎川地区の海水浴場のほど近くにある製塩所。
オーナーの志野さんが、目の前の湾から海水をくみ上げ、手作業で塩を作っています。
建物は、廃工場をリノベーションしたものです。

製塩所を覗いてみよう!

製塩所に入ると、大きな塩釜が目に入ってきます。
真夏に製塩作業をしている日は、塩釜の熱で建物内がとても暑くなるんだとか。
目の前の湾からくみ上げた海水は、夏は3日間、冬は4日間かけて炊きます。
この日の塩釜は、3日間炊き上げた状態だそう。

窯の中を見てみると、表面に塩の結晶が見えます。

塩水は沸騰しているので、覗き込むだけでもかなりの熱さです。

窯の底をかき混ぜる志野さん

志野さんは、そんな暑さの中で、底に沈んでいる塩をすくい取り、ザルにあげてニガリを切る作業を1日中行っています。

ザルにあげた塩はゆっくり水分を切り、最後は脱水機にかけるそうです。

製塩の過程はなかなか見ることができないので、貴重な体験ができました。

製塩体験もできる!

志野製塩所では、製塩体験もできます(事前予約必須)。
保護者がついていれば、なんと未就学児でも体験ができるそうです。
私も小学3年生の子供と一緒にチャレンジしてみました!

まず塩分濃度18%の塩水を、石鍋に入れて火にかけます。

この塩水は製塩の行程でいうと「3%だった海水を2日間煮詰めたもの」だそうです。
夏は3日間海水を炊くのですが、製塩体験ではちょうどこの3日目の作業を体験することができます。

塩水をスプーンでかき混ぜながらひたすら煮詰める合間に、志野さんが製塩や、この土地についての解説をしてくださいます。

お話を聞きながら火にかけること30分。
だんだん表面に塩の結晶が見え始めました。
鍋やスプーンにも塩が付き始めています。

さらに10分。
かなり煮詰まってきました。
そろそろ塩をすくい取ります。

すくい取ったお塩は、コーヒーフィルターで濾します。
すくいたての塩は熱々なので、やけどに気を付けて作業を進めます。

フィルターで水分を切ったら、最後に余分な水分を飛ばすために、再度石鍋に戻して火にかけます。
これでついにお塩ができあがりました!
できたてのお塩は熱々で、とっても不思議な感じ…。

「体験で作ったお塩を福井ならではの入れ物で持って帰って欲しい」と志野さんが考えたのが越前和紙
たくさんある和紙から好きなものを選び、絵を書いて名前を付けます。
私と子供が考えた名前はズバリ「かがやきの塩」。
袋に詰めるときも、まだお塩はほんのり温かかったです。

併設のショップ『しの屋』でお買い物&ランチを楽しんで

海側には、併設のショップ『しの屋』があります。
最近リニューアルして売り場が広くなりました。
製塩所とは中でつながっているんです。
さっそく入ってみましょう!

ここで絶対に買ってほしいのは、しの屋の看板商品である『百笑(ひゃくしょう)の塩』。
とても美味しいお塩で、シンプルなお料理に使うと普通の塩との違いがよく分かり、やみつきになります。

そして、商品棚には、志野さんこだわりの県内外の商品が所狭しと並びます。

奥さんの映里さんが作ったお野菜は『エリ畑(バタ)』の屋号で大人気!無農薬、無肥料で栽培していて、小さなお子さんでも安心して食べられます。

土曜日はランチも楽しめます!

毎週土曜日には『おむすびランチ』を楽しむことができます。
調理を担当しているのは「てんてん」の屋号で活動している笹川綾香さん。

この日のおむすびは「塩」と「にんにく味噌」。おかずはじゃがいもとニンジンの冷たいスープ、オクラとツルムラサキの和え物、卵焼きでした。

ボリュームのあるおにぎりですが、お米もお塩も美味しくてぺろりと食べてしまいました。

なんと、おむすびランチの素材はほぼすべてを志野さんが作っているそう。
卵まで自家製なんて、養鶏も営む志野さんならではですよね!

店内にはカウンター席がありますが、晴れた日はぜひ外で海を見ながらランチを食べましょう!
風の音と波の音にとっても癒されます。

そして、筆者のイチ押しはここで飲むドリンク!
お天気のいい日には、こんな素敵な映え写真を撮ることができます。

冷たいドリンクは塩レモネード、塩ウメぇソーダ、塩ウメぇコーラ、塩ちそソーダの4種類。この日は塩レモネードをチョイスしました。
塩レモネードはレモンと麹のシロップを炭酸で割ったものに、志野製塩所でつくったお塩が入っています。しっかりとした塩味とレモンシロップの甘酸っぱさがクセになります。

建物の海側にはテラスもあります。

このテラスからの眺めも是非見てください!!

美しい越前海岸が見渡せます。

写真の一番奥左側に見える小さな島が雄島(おしま)。その隣の中くらいの島が亀島(かめしま)。いちばん手前に見えるのが鉾島(ほこしま)です。
この三つの島を同時に見ることができるのは、製塩所のあるこの場所だけなんですって。

百姓の仕事に憧れて…

最後に、志野さんにお話を伺いました。

志野さんは千葉からの移住者。知人の事業の手伝いで福井に来た際、仕事の合間に越前海岸を訪れたところ、海も山も豊かなところに魅了され、移住を決めたそうです。

そして奥様の映里さんと出会い、築160年の古民家を購入。
すると、なんと東京ドーム一個分の土地や山がついてきました。
手に入れた山を手入れすると、間伐材が出ます。
その活用方法を考える中で、「山と海の循環」に最適な方法として思いついたのが製塩だったそうです。(今のところ、製塩に使う燃料は、地元製材所からの材木の端材や、民家などを解体した時にでる廃材を活用しています)

そこで県外で製塩を学び、廃工場を自らリノベーション。製塩の窯も自分で作り、志野製塩所を開業しました。

製塩所のほかに、農業、さらには海人の仕事もしている志野さん。ですが、メインの生業は製塩だと言います。その理由は、塩は賞味期限が無い分、志野さん自ら丁寧に作って、丁寧に売ることができるから。

地道に製塩をしながら、農業や海の仕事もしている志野さんは、まさにお百姓さん。
現在は志野さん夫妻と二人のスタッフによって、稲作から養鶏までの様々な百姓の仕事を営んでいます。

「百姓の仕事とは、生きるための事がなんでもできる事」「そんな百の仕事ができる人間になりたい」と笑っていました。

製塩所や、しの屋には、週末になると、絶えず人が訪れます。志野さんはその度に作業の手を止め、一人一人に製塩の事、このお店の事を丁寧に伝えています。

志野さんの百の営みに触れることができる「志野製塩所」と「しの屋」、あなたも是非訪ねてみませんか!

志野製塩所の基本情報・アクセス・マップ

名称 志野製塩所
ヒトモノコトを伝え繋がる商店 しの屋
住所 福井県福井市鮎川町133
電話番号 070-3630-1920
営業時間 11:00~17:00
※土日のみ営業
定休日 平日
製塩体験について 土日の15:00~
(所要時間約90分)
受付は1週間前まで
受付人数 3名以上
団体客は要相談
交通アクセス 北陸自動車道福井ICまたは鯖江ICから車で約1時間
福井駅発 京福バスで「国見郵便局」下車徒歩2分
駐車場 あり
Instagram 志野製塩所 @fukui_toshio
しの屋 @shinoya2020
てんてん @ten.ten.omusubi
WEBサイト https://anoh.jp/
https://shinoya004.stores.jp/

記事の内容は取材時点でのものです。
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