郷土工芸品『越前和蝋燭』とは?小大黒屋が手がけるおしゃれ和蝋燭も必見!【福井県】
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越前和紙や越前漆器、越前打刃物など、福井県には経済産業大臣指定の伝統工芸品が7品目あります。
しかし、福井が誇る伝統ある工芸品はそれだけではありません。
石田縞、福井仏壇など、福井県で指定されている郷土工芸品も28品目あります。
今回はその中から、越前和蝋燭(えちぜんわろうそく)をご紹介します。
大本山永平寺御用達・小大黒屋さんに伺いました!
今回お話を伺ったのは、福井市の片町(順化)、エルパにお店を構え、和ろうそく・薫香等の製造、販売をしている『小大黒屋』さん。
創業から150年以上経つ老舗で、福井県にある曹洞宗の大本山・永平寺をはじめ、多くの寺院の御用達となっています。
福井市中心部にある本店は、お店に入ると目の前に大きな大黒天が!
小大黒屋のロゴにも大黒天があしらわれているんですよ!
越前和蝋燭はもちろん、
お線香なども販売されています。
越前和蝋燭とは
平成6年10月14日に福井県の郷土工芸品に指定された越前和蝋燭。
その定義とはどのようなものなのでしょうか。
和ろうそくの定義
今回お話を伺った小大黒屋さんが考える和蝋燭の定義とは、主に
- ロウの材料が植物
- 芯が和紙
という2つのポイントがあります。
和ろうそくの「ロウ」
昔ながらの和ろうそくだと、ろうにはハゼの実から抽出した油を使うことが多かったそうです。
ハゼの種の皮の部分に油があり、蒸して絞ることにより抽出された油脂を、型に流し込んで形成します。
和ろうそくの芯
芯は、薄い和紙を棒に巻きつけ、さらにイ草の芯(髄)を巻いて蝋で固めて作ります。
お話をしてくださった小大黒屋の定兼さんは「和蝋燭を使うことが出来なかった位(身分)の人はイグサの芯(髄)に油を浸して灯りしていました」ともおっしゃっていました。
ちなみにキャンドルの芯は糸でできています。
越前和蝋燭の形
和ろうそくというと、このように真ん中のくびれたろうそくをイメージするかもしれませんが、宗派によって形や色が違います。
(※和ろうそくはお寺など、仏教がからむ場面で使われることが多いです)
洋風のキャンドルは、火をつけるとどんどんろうが垂れていきますよね。
しかし、和ろうそくは上にたまりがあるため、ろうが垂れることが少ないです。
小大黒屋の和ろうそくも、芯の周りにくぼみがあるため、このように真ん中だけが溶けて沈んでいきます。
小大黒屋では、全て手作業でこれらの形を作り出しています。
越前和蝋燭の色
小大黒屋の店頭には、朱色と生成り色の越前和蝋燭が並んでいました。
朱ろうそくは浄土真宗で好んで使われ、お正月、秋の報恩講、年忌法要などの慶事の時に使う慣わしです。
出典:小大黒屋
福井では主に生成り色の和蝋燭が使用されていますが、地域によっては色や形が違ったものが使用されています。
福井から加賀へ向けてだんだん色が薄くなり、小松の一部のエリアでは麻木(おがら)を使ったろうそくが使用されるなど、地域ごとにさまざまです。一方、福井から遠く離れた北海道でも同じ生成り色が使われています。
かつての福井県には北前船(北海道から日本海を通って大阪などへ荷物を運んだ船)の寄港地がいくつもあり、越前和蝋燭も、北前船で北海道に運ばれていました。
そのため、現在でも北海道から越前和蝋燭の注文を受けることもあるそうです。
越前和蝋燭の特徴
越前和蝋燭(和ろうそく)のろうは植物性、芯は和紙、という大きな特徴がわかりましたが、それによってさまざまなメリットがあるんです。
金箔の仏壇を傷めない
福井県で今でも越前和蝋燭が盛んに使われているのは、仏教が他の地域よりも身近だからかもしれません。
実は福井県は人口当たりの寺院数が日本一。かつては浄土真宗の布教拠点でもありました。
浄土真宗の仏壇は金箔が貼られた豪華なものが一般的ですが、洋風キャンドルは石油でできているため、すすで金箔の貼られた仏壇が傷んでしまいます。
一方越前和蝋燭は植物油脂を使用しておりほとんどすすが出ないため、金箔の貼られた仏壇を傷めないという特長があります。
ちなみに、福井県北部(嶺北)は浄土真宗が70%以上を占めるのに対し、南部(嶺南)は30%以下。
そのため、越前和蝋燭は嶺南よりは嶺北で多く使用されているようです。
リラックス効果もある!?
越前和蝋燭はキャンドルに比べて芯が太いため、火ダネが大きく火力も強いです。
そのため、炎が淡いオレンジ色をしているのも特徴。
さらに、芯がこより状で空洞があるため、風がなくても炎が揺らめき、リラックス効果もあるんだとか。
おしゃれな越前和蝋燭も続々登場!
和蝋燭というと、やはり仏壇やお寺などで使うイメージがあると思いますが、小大黒屋さんには、思わず「おしゃれ!」「可愛い!」と言ってしまうようなろうそくもあるんです。
詳細は次のページでご紹介しています。