タイムスリップ!?福井県最古の『旧瓜生家住宅』と文化財の宝庫『神明社』【鯖江市】
武家屋敷や古い建築物って心をそそられるものがありませんか?
鯖江市内の神明社という神社の敷地内に、福井県最古の民家を見つけたので行ってきました。
地元の方との交流あり、勉強になることもたくさんあり…
すっかりお気に入りスポットになってしまったので、皆さんにちょっとだけ教えちゃいます…
福井県最古⁉︎『旧瓜生家住宅』とは
福井県鯖江市の神社『神明社』の敷地内に『旧瓜生家住宅』と呼ばれる茅葺屋根のお家があります。
見るからに歴史を感じる佇まいですが、それもそのはず。
旧瓜生家住宅は1699年頃に建てられたと言われており(築300年以上!)現存する福井県の民家の中では最も古いと言われています。
瓜生家は代々神明社の宮司を務めてきた家柄で、現在の旧瓜生家住宅は国の重要文化財にも指定され、一般にも無料で公開されています。
無料で一般公開されています!中の様子は…
ということで、私もふらりと立ち寄って見ました。
入場は無料なので、こちらの門からそのまま入っていきます。
すでに時代劇や日本昔ばなしに出てきそうな雰囲気が出ていますよね。
間取りはこんな感じ。
中に入るとすぐに土間のような場所が広がっています。
間取り図には『にわ』と書いてありました。
左手にはかまどが。
まるでさっきまで人がいたかのような空気を感じました。
左奥には井戸もあります。
土間(にわ)の奥は板の間になっていて、囲炉裏もありました。
土間から後ろを振り返るとこんな感じ。
門へと続く飛び石が醸し出す雰囲気に風情を感じます!
板の間の奥、左側にある中の間
照明は最小限におさえてあるので中はとにかく暗いですが、かつて電気のなかった時代に近い景色なのかな、と考えるとなんだかワクワクしてきます。
板の間の右手に続くひかえ
手前にあるやりかけの間
昭和49年に保存のための解体処理を行ったところ、やりかけの間の奥の竿縁から「元禄十二年己卯閏九月八日ニ出来致候中之間 南」と書かれた墨書が発見されました。
これによってこの建物が元禄12(1699)年頃に建てられたことがわかったのです。
ひかえの右手(外に近い側)
ひかえから覗いた外 左手奥の方向に神明社拝殿があります
部屋を突き当たりまで進むと、左手には座敷がありました。
この座敷のつくりは、いわゆる書院造。
この建物は17世紀末に作られたものですが、福井県で民家に座敷が普及するのはなんと19世紀以降のことだそうです。
格式ある神明神社の神官の暮らしが、どれだけ一般の人の暮らしと違っていたのかがよくわかりますよね。
また、先ほど紹介した墨書には、この座敷は「中之間」と記されていましたが、現在はこの座敷が一番奥側の部屋になっています。
どういうことかというと、かつてはこの奥に「上之間」と呼ばれる部屋がもう一部屋あったということみたいです。
このことは、「中之間」の記述だけでなく、奥側の柱の痕跡からも推測されているそうです。
旧瓜生家住宅では優れた建築技術が見られる!
土間に戻ってくると、関係者らしきおんちゃんが話しかけてくれました。
(福井では、おじさんのことはおんちゃんって言うんです!)
受付とかちゃんとしないといけなかったのかな、と不安になっていると、旧瓜生家住宅の建築技術がいかにすごいかをたくさん説明してくれました。
福井の方のこういう温かいさと優しさが大好きなんですよね!
そのお話の中でも「すごい!」と思ったのがこちら。
この写真の柱、上の方が曲がっていますよね。
その曲がった木に、横から通す木との凹凸をぴったり合わせてはめ込んでいるんです。
満足な道具がない時代に、手作業でこれだけのことができていたというのは、すごいことですよね。
お隣、石川県にある『忍者寺』(金沢市)にも、このような曲がった木が使われている部分があるのですが、「当時の福井にそれができる名工がいたことはすごいことだ!」と教えてくれました。
このほかに、土間周りの柱は下部が太くなっているのも特徴。
これは、太くて長いまっすぐな木を入手するのが困難だったためだけではなく、柱の下の部分をできるだけ太くすることで腐食に耐え、構造を安定させようとしたためと考えられているそうです。
また、股柱と言って柱の上の部分が二股に分かれているところが3箇所もあるのですが、これは福井県の古民家の大きな特徴でもあるんだとか。
福井県最古の住宅『旧瓜生家住宅』は、まるでタイムスリップしたかのような空気が味わえる不思議な場所でした。
歴史を感じるとともに、その特徴的な建築様式も大変興味深いものなので、古民家好きな方には絶対に行って欲しい場所です!
旧瓜生家住宅の基本情報・アクセス・マップ
名称 | 旧瓜生家住宅 |
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住所 | 福井県鯖江市水落町4-3-12 |
電話番号 | 0778-51-5999(鯖江市教育委員会文化課) |
会館時間 | 10:00〜16:00 |
休館日 | 火・木・金曜日 |
アクセス | 福井鉄道 神明駅から徒歩約2分 北陸自動車道 鯖江ICから車で約10分 |
駐車場 | 5台(無料) |
WEBサイト | https://www.city.sabae.fukui.jp/kanko/sightseeing/kyuuryuke.html |
文化財がいろいろ!『神明社』とは
続いて、旧瓜生家住宅がある神明社という神社に行ってみました。
神明社は、伊勢神宮天照大神が祀られている神社で、5世紀半ばから文殊山南麓にあったものを、1129年に現在の烏ヶ森に遷宮した神社です。
烏ヶ森は原生林に近い自然林で、天然記念物として鯖江市の指定文化財となっています。
昔から聖域として大切にされてきた場所で、昭和27年には境内公園としても整備されています。
(その最も北側に位置するのが、旧瓜生家住宅という位置関係)
また、その広大な敷地はなんと約5万坪もあるとか。
5万坪というと、東京ドーム約3.5個分。
ひ、広い!!
特に栄えていた江戸時代は、越前一と言われた盛大なお祭りも行われていたそうです。
さらに、神明社には文化財も多数存在しています。
こちらは鯖江市指定文化財の神符納禽(しんぷのうがん)。
かつて福井市の足羽山で採掘されていた笏谷石でできたものです。
1593年に建立されたもので、元は廻国納経(お遍路のようなもの)の際に経を納める容器として使用していましたが、のちに神符(お札やお守り)を納めるようになったものだそうです。
拝殿を背にして二の神明鳥居前から撮影した写真
神明社には他に、鯖江市指定文化財の慶長の灯籠、県指定文化財の中雀門などもあり、見どころ満載。
境内をゆっくり歩いて、自然や歴史を存分に感じてみましょう。