人口はたったの一人！なのに年間千人以上が訪れる小原地区

勝山駅から車を走らせること25分。
恐竜博物館を通り過ぎ、次第に山深くなる景色を眺めていると、登山道のすぐ手前にある北谷町小原地区に到着しました。

小原の人口は、なんとたったの一人。
にも関わらず、交流人口は、外国人も含め年間千人を超える地域です。

あふれんばかりの緑の中には、住宅もちらほら。
現在の人口は一人ではあるものの、お仕事や畑のために集落に通っている方が数人いらっしゃいます。

小原では、人口の少なくなってしまった集落の再生・活性化のために、古民家再生や修復活動を含む小原ECOプロジェクトが行われています。
平成27年度ふるさとづくり大賞では最高賞の内閣総理大臣賞を受賞し、現在でも、地元の大学生や訪れた人々によって地域づくりが続いています。

小原に訪れる人々の拠点『農家民宿 フクジュ荘』

そんな小原のハブのようなスポットになっているのが『農家民宿 フクジュ荘』。
通常の民宿としてだけでなく、交流事業やツアーの際の宿泊施設として使われています。

今回小原を訪れたのは、フクジュ荘でインバウンド向け食文化体験をするため！
外国の方にも喜ばれている、自然や地域の文化と触れ合う体験ができるとのことで、ワクワクでやってきました。

出迎えてくれた國吉さんに案内されたのはここ。

今回はフクジュ荘のすぐ近くにある別の建物にお邪魔して体験しました。

土壁と木でできた建物は一見蔵のようでもあり、中はそこまで広くないのかな？という印象を受けましたが、実際に入ってみるとかなり立派！
玄関を入ってすぐに囲炉裏が目に入ってきます。
落ち着く〜。

勝山の食文化体験

早速食文化体験を始めるということで、囲炉裏のそばでゆったり体験ができるのかなーと思いきや、國吉さんから、「外に行くので長靴に履き替えてくださいね！」との指示が。

え、外！？

まずは登山！？

10月も半ばのこの日はすでに空気が冷たく、外に出るとかなり肌寒い！

この食文化体験で作るのは、笹寿司といもぼた。
笹寿司に使う笹を取りに行くところから体験が始まります。

ムカゴ発見！

歩き始めて数分。
何やらツルが垂れ下がっている植物の前で國吉さんが立ち止まりました。

よく見ると、丸い実のようなものが！

ツルの上から下に手を動かすと、たくさんの実が落ちてきました！

これは、山芋などのツルにできる『ムカゴ』という肉芽。
もちろん食べられます。

ご飯と一緒に炊いてむかごご飯にするもよし。
炒めたりあげたりして、塩胡椒などお好みの味付けで食べるのもよしとのこと。

川も綺麗！

さらに歩くと、川にも遭遇しました。
水が澄んでいてとってもきれい。

川底の岩が白っぽいですが、これは恐竜がいた時代の岩。
恐竜もこの場所を歩いていたそうです。

さらに、こんなに大きい岩も発見！

雨などの災害によってここまで落ちてきたのでしょうか。
すごい迫力です。

日本一の星空！？

すっかり勝山の自然に夢中になっていると、いつのまにかこんなところまで来てしまいました。

フクジュ荘は、赤兎山（あかうさぎやま）の登山口に向かう山道の途中にあるため、出発の時に、もしかして登山？と少し予感していましたが、そのまさかでした！

さすがにここまで歩くと少し疲れますが、道はしっかり整備されていたので、登山といっても歩きやすかったですし、歩いているうちに体も温まってきました。
それに、ちょうど木々が色づいて来た頃だったので、景色がとってもきれい！
何より空気が澄んでいて、すごく気持ちが良かったです。
これだけ空気がきれいなら、夜は星がよく見えるのではないでしょうか。
尋ねてみると、「小原の星空は日本一と言っても過言ではありません。」と國吉さん。

お隣・大野市の六呂師高原は、環境省などによる全国星空継続観測で「日本一星空がきれい」と認定されたことがあります。
しかし、小原では最近、その時よりも星空がきれいという数値が出たのです。
宿泊の際は星空のチェックも忘れずに！

笹を調達！

さて、小原の自然を存分に堪能したところで、やっと笹が生えているポイントに到着しました。

笹が青々としているのは9月下旬頃まで。
10月も半ばを過ぎたこの日は、きれいな笹を見つけるのに苦労しましたが、30枚ほどの笹をとってフクジュ荘に戻りました。

笹寿司作り

フクジュ荘に戻った私は早速作務衣にお着替え！
手ぬぐいもして、それっぽい気分になったら、最初に笹の飾り作りをします。

お寿司やお刺身の盛り付けで目にする笹の飾り切り。
自分でつくる機会はそうないので、とても楽しかったです。
外国の方には特に楽しんでもらえそう。

笹の飾り切りができたら、待ちに待った笹寿司作りの始まり。

刻んだ生姜が入った酢飯を丸め、取ってきた笹の葉にのせたら鱒をのせます。

酢飯を笹の葉で巻いたら、もう一枚の葉でさらに巻いて楊枝でさす。

たったこれだけの簡単な工程ですが、慣れるまではしっかり巻くのがちょっと難しかったです。

國吉さんとお手伝いに来てくれたお母さんに手ほどきを受けて、だんだん作業に慣れてきました。

出来上がったら押し寿司用の入れ物に入れます。

福井県の公式恐竜ブランド「Juratic」のラプトくんも見守ってくれました。

蓋をしたら、重しとして石をのせます。

あとは待つだけ。

30分ほどして蓋を開けてみると、しっかり押されて、ちょうどいい形になった笹寿司が出て来ました！

試食の感想は後ほど！

いもぼた

続いては、『いもぼた』なるものに挑戦！

待っている私の前に出て来たのは、すり鉢に入ったお米と里芋。
いもぼたは、里芋と米（もち米は一切入っておらず、うるち米のみ）を合わせてぼた餅にしたもの。
和菓子に里芋を使うとは、驚きです！

作り方は、お米と里芋をすりこぎでひたすら潰すだけ。

潰し具合はお好みでいいそうなので、今回はしっかりめに。
できたら丸めてきな粉やあんこをつけて完成！

これなら自宅でも簡単にできそう。

試食！

最後に、笹寿司と一緒に試食をしました。

笹寿司は、ほのかな笹の香りとしっかりめの生姜の風味がぴったりで、さっぱりとした美味しさでした。

いもぼたは、混ぜる前にちょっぴり入れた塩と、あんこやきな粉の甘さが絶妙！
塩は少し多めに入れると、味がしまってもっと美味しくなりそう。

今回教えていただいた笹寿司といもぼたは、どちらもお祭りや稲刈りが終わった後など、おめでたい日に食べるものです。

里芋を和菓子に使うことに驚きましたが、里芋は勝山市周辺地域の名産の一つ。
甘く煮るのが定番だと思っていましたが、勝山周辺ではこんな風にぼた餅にしたり、茹でて塩をかけたり、さまざまな調理法の里芋が食卓を飾ります。

人口たった一人の集落で出会った郷土料理は、勝山の文化や風土を強く感じられるものでした！
若い人や外国の方にも広めたいな〜。

ぜひ、足を運んでみてください！

※フクジュ荘では食文化体験以外にも、紅葉を楽しむ登山や古民家修復などさまざまな体験ができますが、人数によっては受け入れができない場合があります。必ず事前の問い合わせをお願いいたします。

農家民宿 フクジュ荘の基本情報・アクセス・マップ

関連記事

福井県の郷土料理づくり体験5選｜歴史や風土にも触れられる伝統料理が作れます！