築120年の古民家を改装したフレンチレストランLULL(ラル)。Surf&Turfで福井の恵みをいただく【坂井市】
福井県坂井市三国町。
ここは、東尋坊や越前松島水族館など、全国から観光客が集まるスポットが点在する人気観光地です。
また、北前船によって発展を遂げた三国湊は、かつての面影を残す建物が多くあり、その雰囲気も人気の理由となっています。
そんな三国湊がある三国町エリアに、LULL(ラル)というレストランがあります。
福井にゆかりのある実力派料理人が、魅力的で新しい価値を福井に創り出そうと、想いを込めて始めたLULL。
一体どのようなお店なのでしょうか。
福井にゆかりのある実力派料理人が手がけるフレンチレストランとは
LULLを経営するのは、福井出身の料理人、小川智寛氏。
福井県で料理人の父のもとに生まれ、自身も料理人を目指すため、国内外の有名レストランで修行を重ねてきた方です。
フランスでは数々の星付きレストラン、有名レストランで修行をし、帰国後は都内のフレンチレストランで料理長を務めたのち、東京・麻布十番のAile Blanche(エルブランシュ)やアジルジョーヌ・テラスをオープン。
フレンチ界を代表する料理人として腕をふるうのはもちろん、国内外のレストランコンサルティングを行うなど、多方面で活躍されている実業家でもあります。
エルブランシュは、魔法のフォアグラというスペシャリテが人気を博しており、食べログの評価は驚異の4点超え。
全国に70万店以上ある飲食店の、上位約500店舗しか受賞できないTHE TABELOG AWARDも受賞しています。
LULLは、そんな、東京でも屈指のフレンチレストランの流れを汲む味が、福井で3,000円台から楽しめる大変貴重なお店です。
LULLとして生まれ変わった小松長生氏の生家
三国の海岸沿いを歩くと、海に面して佇む古風な、それでいて新しさも感じるガラス張りの建物が目に入ってきます。
ここが、デスティネーションレストラン LULL。
港町の雰囲気を醸し出す階段の手前には、フレンチレストランらしいシックなロゴが。
しかし、階段を上がると、やはり目に入ってくるのは歴史を感じる建物の姿。
窓枠に施された細工にはどこか懐かしさを感じるものの、足を止めて見入ってしまうさりげない美しさもあります。
この先に本当にフレンチレストランがあるのだろうかと疑いたくなってしまいますが、左手に進むと、目に入ってくるのは鮮やかな赤。
歴史ある雰囲気は残しつつ、おしゃれなイメージも併せ持った外観に自然と期待が高まります。
北海道と関西を行き来する北前船の寄港地として栄えた三国。
この建物は、北前船の頭首の自宅として宮大工によって120年以上前に建てられたものであり、完成には5年もの歳月がかかったといいます。
さらにこの建物は、世界的なオーケストラの指揮者、小松長生氏の生家でもあり、古民家再生の実績もある地元の一級建築士 丸山晴之氏とbazikの空間デザイナー 滝澤雄樹氏の手によって生まれ変わり、2016年4月にLULLとしてオープンしました。
凪を意味するLULLで穏やかな海を目の前に食事を堪能
アプローチを進むと昔ながらの玄関が現れます。
改装はしてありますが、特徴的な部分はそのまま残し、デザインとして活かしているLULL。
玄関では、木戸の軋み具合にすら歴史と感動を覚えます。
フランス人ソムリエ兼サービスのアレクシーさんが出迎えてくれました。
また、玄関に敷き詰められているのは笏谷石(しゃくだにいし)。
笏谷石は凝灰岩の一種で、全国でも福井の足羽山周辺でしか採掘されません。
福井市の一乗谷朝倉氏遺跡や養浩館庭園といった歴史ある場所でも見ることができますが、現在は採掘されていないため、大変貴重な石として知られています。
玄関を入ると目に入ってくる、明るいオープンキッチン
左手にあるメインダイニング
LULLは英語で凪を意味し、ジャズの名曲「There’s a Lull in My Life」にちなんでつけられた店名でもあります。
LULLの眼前には日本海が広がっていますが、天候の悪い時はひどく荒れることもあるそうです。
しかし、LULLのすぐ目の前は小さな湾になっているため、日本海がどんなに荒れていても、この穏やかな景色はいつも変わらないんだとか。
メインダイニングはテーブル席やソファー席が並び、柔らかい日差しが入ってくる明るい造りに
おしゃれで洗練された空間に佇んでいると、ここが古民家であることはすっかり忘れてしまいます。
しかし、ふと上を見上げると、太い梁と、精巧な細工が施された欄間が目に入り、古民家らしさをそこかしこに感じることができます。
小松家の歴史を感じる個室
奥には個室が一部屋あり、4人まで食事をすることが可能となっています。
個室からは海がよく見えます
小松長生氏は、よくこの窓から海を眺めながら読書をしていたそうです。
また、よく見てみると、入り口横の柱にはたくさんの印が。
小松家の人々の身長がここに刻まれていて、この家の歴史をさらに感じることができます。
LULLで気軽にランチを楽しむ
佇まいや価格帯から、ディナーは若干敷居が高いと思われがちですが、そんな方はまずはランチを食べに行ってみませんか?
前菜、魚介オードブル、メイン、デザート、コーヒーまたは紅茶のMikuni Courseが¥3,500、スープと、ミクニコースとは違ったメインがつくLULL Courseが¥5,000となっているので、少し贅沢をしたい日のランチに行ってみてはいかがでしょうか。
トマトのスープ
サーモンのミ・キュイに乾燥させたおぼろ昆布とカイワレ大根をまとわせ、ごま油のパウダーをそえたもの
メニューの内容は季節ごとに変わります
海と山が近くにある福井の土地柄を活かした新しいスタイルのフレンチ、Surf&Turf(海の幸と山の幸を一つのお皿に表現する)を楽しむことができます。
福井イチ!?オシャレすぎるアフタヌーンティー
実は、個人的に最もおすすめしたいのは、LULLのアフタヌーンティー。
個人的には、福井イチ、いや日本一おしゃれで素敵なアフタヌーンティーでは?と思っています。
木のお重に入ったセイボリーとスイーツはまるで宝石のよう。
ケークサレ、キッシュはおかわり自由、ドリンクは6種類程度あり、こちらもおかわり自由です。
海を眺めながら、午後のひと時を過ごしてみては?(予約が必要なのでご注意を!)
素敵なアフタヌーンティーの詳細はこちら>>海の見える古民家レストランで贅沢なアフタヌーンティーを楽しむ
LULLの知られざるこだわり
古民家を改修しているため、歴史を感じる特徴的な場所と、現代風デザインが織り混ざったLULL。
そこかしこにオーナーこだわりのアイテムがあるので、見逃さずにチェックしてみましょう。
外観・内装・インテリア
随所に見られる笏谷石
まずは、道路に面した建物の外側。
写真左下には石が並んでいますが、これも玄関と同じく笏谷石。
笏谷石が豊富に使われていた古民家だからこその贅沢な使い方です。
ニコライバーグマンの苔玉
さらに、笏谷石が敷き詰められた玄関の先にあるこの苔玉。
これは、人気フラワーショップニコライバーグマンが手がけたもの。
苔は時間や歴史を感じさせる植物ですが、最近ではインテリアとしても人気が高まっており、古と新の融合であるLULLを象徴しているように感じられます。
目を引く襖
また、オープンキッチンが見えるレセプションエリアとメインダイニングを隔てるのは、奇抜な色ながらもLULLの空間にしっくりと馴染む印象的な襖。
この襖は、滋賀の襖デザイナーが手がけたもの。
実は、個室の窓の下にある小さな戸棚(地袋)のデザインも同じ方が手がけたそうなので、個室に入った際には探してみてください。
食器
料理を演出するお皿にもLULLのこだわりが随所に見られます。
笏谷石
この器に使われているのも笏谷石。
食材だけでなく、お皿や料理を演出するアイテムにも、福井のものを積極的に使用しています。
能作
また、下に敷いてある銀色のプレートは、能作のもの。
富山の伝統技術が生んだ日本を代表する鋳造工房が作った錫の加工品です。
ワイン置きにも使われているので、見つけてみてください。
フィンランドの陶芸家が手がけるティーカップ
さらに、日本ではここでしか使われていない、こだわりのティーカップも気になります。
上からよく見ると完全な丸にはなっておらず、手作りのあたたかみが感じられます。
手触りもしっとりとしていて、土の感触を思い出すような素材。
飲み物を飲んだ時の口当たりの良さは言葉で表すのが難しいほどです。
フィンランドの陶芸家・ナタリーラーデンマキさんが作っているそうで、わざわざフィンランドの工房に出向くほど、LULLの中でもこだわった部分だそうです。
LULLの生みの親、小川智寛さんと川﨑里香さんインタビュー
LULLは、小川さんがCOO、川﨑里香さんがCEOを務める株式会社マイナーリバーズが運営するレストランです。
LULLをオープンしたきっかけや、LULLにかける思いをお二人に伺いました。
小川智寛さん 麻布十番「Aile Blanche」にて
LULLをオープンするきっかけ
ーーLULLをオープンするきっかけはなんだったのでしょうか?
小川:川﨑が私の故郷、福井に遊びに来て福井をすごく気に入ったことが始まりです。
川﨑は、福井に住みたいとまで思ったようです。
以前から私自身は福井の活性化のために、出来ることは頼まれればしていました。
ただ、自身でレストランをオープンしようとまでは考えていませんでした。
そして、川﨑が福井に来たその翌月に、小松長生さんがエルブランシュに来て、彼が実家の話を私にしたのです。
お父様が亡くなって3年経ち、「もう使わないから潰そうとしたが、歴史ある古民家だから残して欲しいと県から頼まれ、古民家再生機構というところが管理しているが使い道がないままだ…」と。
このタイミングでこの話が来ることに強い縁を感じ、2週間後には川﨑と一緒に小松邸を見に三国に来ていました。
そこから話はトントン拍子で進み、LULLが出来たのです。
クラウドファンディングでの資金調達
ーーLULLのオープンの際には、クラウドファンディングで資金を調達していましたよね?
小川:これも川﨑のアイディアです。
クラウドファンディングなんて私は知りませんでしたし、最初はなんのことかもわかりませんでしたが、川﨑は前々から興味を持っていたようで、今回初めてクラウドファンディングに挑戦しました。
古民家の改修には驚くほどお金がかかって、クラウドファンディングでも全く賄えるものではなかったのですが…(笑)
しかし、支援してくださった方には喜んでいただけたので、良かったと思っています。
オードブル詰め合わせや期間限定アフタヌーンティー招待など魅力的コースばかりのクラウドファンディングでした。
その中の一つ、プチオーナー権を購入(支援)した方のお名前は、今もLULLのアプローチに飾られています。
LULLへの想い
ーーLULLへの想いを教えてください。
小川:LULLは私にとって特別なレストランです。単に故郷にフレンチレストランを作って錦を飾るということではありません。
遠くからでも足を運んでもらえるような、ここにしかない体験ができるレストランを目指しています。
そのために、LULLの料理も新しいテーマに挑戦しています。それが、Surf&Turf(サーフ&ターフ)、海の幸と大地の恵みを一皿の料理で表現することです。
福井は海と山が接近した珍しい地形で、どちらの食材にも恵まれています。
そんな福井をイメージしたSurf&Turfで、県内外の多くのお客様に喜んでいただきたいと思っています。
LULLが福井にとって価値のあるレストランになるために私たちは全力を尽くします。
会社やLULLが目指す場所
ーーマイナーリバーズやLULLが目指す場所を教えてください。
小川:私たちマイナーリバーズの事業は福井の活性化を目指すものです。福井に魅力的で新しい価値を創ることで、福井のブランド化を目指しています。
国内外から観光客がたくさん訪れることが目的ですが、同時に「福井には何もない」と言う福井の人たちにも福井の魅力をもっと知ってもらい、自信を持ってもらいたいと思います。
私たちの活動が福井の活性化のきっかけになることを願っています。
お話を伺った中で印象深かったことが、小川さんと川﨑さんのバランスの良さ。
小川さんはフレンチの料理人や経営者、コンサルタントとして活躍しており、常に現場目線で物事を考えています。
かたや、川﨑さんは16歳で単身アメリカに渡り、その後はアジアや中南米などへ旅を重ね、帰国後は会議通訳者として20年以上のキャリアを持つ女性。これまで、料理の業界で仕事をしたことは全くなかったとか。
だからこそ、川﨑さんは全力でお客様目線で要望を伝え、小川さんがリアルに落とし込むという作業を経て、よりお客様目線のお店を創り上げることができたとのことです。
LULLのこだわり
ーーLULLにはインテリアから食器から、様々なこだわりがありますが…
小川:その辺りもだいたい川﨑が率先してやってくれました。
川﨑:自分が好きだな、素敵だなと思うもので、LULLのコンセプトに合うものはできるだけ取り入れたいと思って、いろいろな場所にこだわりを持っています。
料理のプロで柔軟性の高い小川さんと、女性目線で細かなところまでこだわり、抜群のセンスを持つ川﨑さん。
お二人の絶妙なバランスで、LULLは日々進化を遂げています。
これからのLULLにも目が離せません。
フレンチデリ、ガレットカフェなど系列店も続々登場
小川さんと川﨑さんは、LULL以外にも系列店を手がけ、福井の活性化に一役買っています。
HALF MOON BAY
「レストランをテイクアウトする」がコンセプトのフレンチデリHALF MOON BAY。
明治初期に建てられた土蔵をリノベーションしたお店で、レストランで提供されるような料理をテイクアウト販売しています。イートインスペースやテラスもありランチにも利用できます。
三国湊町周辺にあるため、町歩きがてら気軽に立ち寄れるお店になっています。
ガレットカフェ HAZE
越前海岸を望む丘の上にあるガレットカフェHAZE(ヘイズ)。
越前漁港で水揚げされる豊富な魚介料理と、福井産にこだわったそば粉を使ったガレットを提供するブルターニュ料理のカフェレストランです。
国定公園の中にあり、水平線を見渡せる絶好のローケーションが人気!
特に、水平線に沈みゆく夕日は感動の一言です。
詳しくはこちら>>福井の恵みたっぷりのそば粉ガレットと絶景を楽しめるカフェHAZE(ヘイズ)
LULL、HALF MOON BAY、HAZE共にこれからも目が離せない注目のレストランです。
お近くを観光する際はもちろん、わざわざ足を伸ばして行く価値のある一押しレストランなので、ぜひ訪れてみてください。
LULLの基本情報・アクセス・マップ
店名 | LULL |
---|---|
住所 | 福井県坂井市三国町崎31-25 |
電話番号 | 0776-97-8903 |
営業時間 | ランチ 11:30〜13:30 (LO) アフタヌーンティー 13:00~16:00(LO)(要予約) ディナー 17:30〜20:30(LO)(要予約) |
定休日 | 木曜日・第2水曜日 |
アクセス | JR芦原温泉駅から車で20分 えちぜん鉄道 三国港駅から車で10分 京福バス崎浦停留所から徒歩1分 バスの詳細はこちら→https://bus.keifuku.co.jp/rosen/map/9.pdf?20200401 小松空港から車で40分(北陸自動車道 金津IC下車) |
駐車場 | あり |
SNS | instagram @lull_mikuni Twitter ー Facebook @LULL2016 |
公式サイト | http://mrivers.jp/lull/ |
三国港駅からLULLへ…
LULLの電車の最寄駅はえちぜん鉄道三国港駅になります。
ここから歩くとかなり距離はありますが、徒歩50分ほどなので、歩けないほどの距離ではありません。
実際に私は歩きました!
天気のいい日なら、潮の香りに包まれながら、三国の街を散歩するつもりで歩いてみるのも気持ちいいいですよ。
途中には真っ赤な橋があったり、海に近づいてくると、どこか懐かしい景色に出会えたり…
時間がある場合は、LULLの近くにある越前松島水族館に行ってみるのもいいかもしれません。
(向こうに見えるドーム状の建物があるところが越前松島水族館。)
ぜひ、三国の町とともに、LULLを楽しんでください。
三国港駅の詳細はこちら(福井駅から三国港駅の交通についても記載)>> えちぜん鉄道が丸わかり!終着駅や可愛すぎる新型車両も詳しく紹介します!
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