非公開の笏谷石採石場跡に潜入!そこで見たのは熟成期間20年以上の一本義古酒だった!?
お酒が美味しい福井県。
中でも有名な日本酒の一つに『一本義』があります。
辛口ですっきりとした味わいの定番の一本義もいいのですが、全く違った味わいの一本義が存在するとの噂が…。
秘密の蔵置場に貯蔵されているらしいそのお酒を、この目で確かめてきました!
一般には非公開!一本義長期熟成貯蔵庫に潜入
福井市内のとある場所に突如として現れる謎の洞窟。
ここは、かつて福井で盛んに使われていた笏谷石(しゃくだにいし)という石の採石場。
現在は採石は行われておらず跡地となっていますが、実はこの中に、一風変わった一本義が眠っているんです!
一本義の社長が採石場跡地を直々に案内してくださるとのことで、この目で確かめてみなくては!とワクワクで現地に向かいました。
しかし、中に入る直前、おもむろに電話をし始める社長。
「もし1時間経っても連絡がなかったら見に来てください」
あれ…、もしかしてすっごく危険な場所に来ちゃった?
冒険感がすごい!笏谷石採石場跡地の内部
若干の不安を抱えながらも中に入ってみると、意外にも周りはきちんと補強されていました。
思ったよりも危険じゃなさそう!
…と思ったのもつかの間。
通路を進むと徐々に石がむき出しになってきました。
上を見ると、今にも落ちてきそうな岩があったりして、やっぱりかなり危険そう…。
中はかつて採石していた頃のままになっている部分もあり、足場やトロッコのレールなどを見ることもできました。
レールの先が水たまりになっているの、わかりますか?
こんな風に、石から染み出した澄みきった水が、いたるところにたまっていました。
このくらいならまだいいのですが、場所によっては巨大なプールのように水がたまっているところも!
試しに石を投げ入れると、ゆらゆらゆらゆら、いつまでも落ちていくのが見え、相当深いことがわかりました。
深さ十数メートルはゆうに超えているのでは?という場所も。
懐中電灯を照らしながら歩いているものの、電灯の少ない採石場跡地内はかなり暗いので、生命の危険さえ感じられました…。
一般の方の見学は受け付けておらず、限られた人しか中に入れないという理由を身をもって体感しました。
また、戦時中には秘密軍需工場として使われたといわれる場所もあり、階段のついた見張り台のようなものもありました。
石を削って作った階段を上り、見張り台から秘密軍需工場跡を眺めてみました。
結構な高さ!
一本義の蔵置場には、四半世紀の時を超えたお酒も
さて、肝心の一本義の蔵置場はというと、こちらも鍵がかかって厳重に管理されていました。
この笏谷石採石場跡地の中は、一年を通して温度が10℃ほど、湿度は80〜90%に保たれています。
なんとここで日本酒を熟成させているんです!
瓶詰め後の日本酒の熟成に湿度は関係ありませんが、温度が一定であることによって、ゆるやかに熟成させることができるんだとか。
中に入ると、迎えてくれたのはおよそ1万5千本の1升瓶。
お酒のケースを見ていくと、製造年月と本数が記載されていました。
製造年月3BY。
BYとはBrewery Year(ブルワリー イヤー・醸造年度:毎年7月~翌年6月の1年間)のことで、このお酒は平成3年7月から平成4年6月までの間に醸造されたお酒ということになります。
つまりこれは25年以上前のお酒!
私が生まれる数ヶ月前に仕込まれたお酒でした!!
初めて味わう古酒に感動!
一本義久保本店さんは、日本酒の熟成の「実験」をするために、笏谷石採石場を30年も前に借りました。
その中で、できのいいものはすでに一般に販売されています。
それがこちらの一本義古酒1999、夢語り古酒、古熟など。
価格:3,240円(2017/7/17 20:09時点)感想(0件) |
価格:2,376円 |
価格:1,512円 |
一本義古酒1999と夢語りは実際に飲んでみました。
香りはカラメルのようで、色も黄〜茶色がかっていて、まるでウイスキーのよう。
チョコレートと合わせて飲んでみましたが、とっても合う!
長期熟成した日本酒がこんなにも美味しいとは思ってもみませんでした。
なぜ日本酒は熟成されないのか?
そもそも、日本酒は出来立てを飲むのがいい!みたいな雰囲気があって、熟成させていたとしてもせいぜい半年〜1年ほど。
ワインなどは古いものに価値があるのに、どうして日本酒は違うんだろう?と思いませんか?
実はそれには、酒税の歴史が大きく関係していたんです。
昔は日本にも日本酒の長期熟成という概念があり、10〜20年熟成したお酒も存在していたそうです。
日蓮上人(1222〜1282年)が信徒に送ったお礼状の中には、
「人の血を絞れる如くなる古酒を、仏、法華経にまいらせ給える女人の成仏得道疑うべしや」
出典:一本義久保本店
との言葉があり、かつて古酒(長期熟成)が存在し、その価値が高かったことが伺い知れます。
しかし、明治時代に酒税制度が変わり、販売される時ではなく造った瞬間に税金がかかるようになってしまいました。
そのため、販売が出来なくても税金だけはかかってしまうため、お酒の長期熟成のリスクが高くなってしまったのです。
そういった理由から、日本酒の長期熟成はされなくなっていきました。
しかし、その税制度も昭和29年に改定され、お酒は販売してから税金がかかるようになりました。
それと同時に、長期熟成の日本酒を復活させようとする動きが出てきました。
日本酒の熟成は本当に奥が深く、まだまだ未知数な部分もあるようですが、すでに販売されている古酒の美味しさには本当に驚きました。
飲食店などではほとんどお目にかかることができませんが、通販などで購入することができるので、ぜひチェックしてみてください。
一本義とは?
念のために、ここで一本義についておさらいを!
一本義は、福井県勝山市にある、創業明治35年の老舗『一本義久保本店』でつくられている日本酒です。
福井の食材そのものの味わいを大事にするため、キレ味の良さを大切に造られている一本義。
キレの良い辛口酒を評価され、昭和の始め頃から、福井県内では製造・販売高ともにトップブランドとなり、現在も県内外の多くのファンから愛されているお酒です。
価格:2,160円 |
一本義以外にも伝心や今回紹介した古酒、梅酒、焼酎など、様々な種類のお酒を造っているので、お気に入りの一本がきっと見つかるはず!
社長おすすめのお酒や古酒の詳しい感想はこちら>>福井県を代表する日本酒『一本義』はどんなお酒?古酒や梅酒などのレアなお酒も紹介!
一本義がどのように造られているのかや、一本義を育む勝山市の風土についてはこちら>>酒造りに適した風土が美味しさの秘訣?福井県勝山市の日本酒『一本義』で蔵見学してきました
笏谷石とは?
最後に、笏谷石についてもご紹介します!
笏谷石は凝灰岩の一種で、福井市足羽山(あすわやま)の周辺でしか採ることができません。
質感は柔らかく、青みがかっているのですが、水に濡れるとより青みを増す美しい石です。
古墳時代(1500年ほど前)の石棺や一乗谷朝倉氏遺跡の石仏など、笏谷石を用いた出土品は数多く見つかっており、江戸時代には北前船で全国に出荷されていたそうです。
福井市内に残る笏谷石…
福井の歴史的遺構には笏谷石が使われていることが多いです。
例えば養浩館庭園や現在福井県庁になっている福井城址などでは現在でも笏谷石を見ることができます。
福井城址は2km四方もの大きな城だったと言われていますが、周りを取り囲むお堀(石垣)には笏谷石が使われていました。
市内では今でも本物を見ることができる場所がいくつかあるので、探してみては?
例えば北ノ庄城址・柴田公園などで見ることができます!>>日本最大級の城だった⁉︎福井市の北の庄城址・柴田公園の見どころ8選
レストランで見かけることも!
福井伝統の産物である笏谷石を活かそうと利用しているレストランなども多く見かけます。
例えば、坂井市三国にあるフレンチレストラン・LULL(ラル)では、料理をのせる器やお店のインテリアにも笏谷石を使っています。
笏谷石を使った器 × おしゃれフレンチが楽しめるかも!?
笏谷石の歴史について、一本義について、そして、その2つが融合してできた一本義の古酒について、おわかりいただけたでしょうか?
笏谷石も一本義も、福井を代表する大切な文化であり歴史なので、多くの人に笏谷石採石場跡地で熟成された一本義の古酒について知ってもらいたいなと思います。
案内してくださった一本義のみなさま、ありがとうござました!
今回紹介した古酒は、以下の通販で購入することができますよ!
ぜひ試してみてください。
価格:3,240円 |
価格:2,376円 |
価格:1,512円 |